駅伝で目にするアクシデントが、またも物議を醸すこととなった。
北の杜、宮城県仙台市で「第41回全日本大学女子駅伝対校選手権」が10月29日に開催され、名城大学が史上初の7連覇を達成。地元の東北福祉大学が8位に入り、初のシード権を獲得して感動を演出した。
その一方で、悲劇は第1中継所前で起こった。12年ぶりの出場となった城西国際大学の1区・大沼亜衣が最後の直線を前に足を引きずり、歩きながら2区の佐藤華ルイーズにタスキを渡すと、そのまま崩れ落ちたのだ。
これだけではない。大阪芸術大学の3区・菅﨑南花がラスト250メートル付近でフラフラの状態となり、あと100メートルのところで転倒。一時は仰向けになるなどの危険な状況から、4区の鈴木杏奈にタスキを繋いだ。中瀬洋一監督は別の場所で指示を出していたため状況を把握できておらず、レース後に「正直、止めてほしかった。倒れて頭を打ったりしたら危ない。主催者側に緊急連絡先も伝えていたので、連絡してほしかった」と心情を吐露している。スポーツライターも苦言を呈する。
「選手がタスキを繋ごうと、意識朦朧となりながらも足を進める光景は例年、箱根駅伝でも目にします。『テレビが映さなければいい』という批判の声もあるようですが、問題はそこではないでしょう。中瀬監督が心配していたように、命の危険や選手寿命が断たれるような状況も想像がつくのに、レースを続けさせることには違和感しかありません。近年はボクシングでも、レフェリーが早めに試合を止めるケースが増えています。これは選手を危険に晒すことを回避するための措置。陸上競技の審判団にも今後、ますます適切な判断力が問われることになるでしょう」
感動シーンのウラで、審判団が泥を塗ってはいけない。
(所ひで/ユーチューブライター)