埼玉県蕨市の郵便局に86歳の鈴木常雄容疑者が人質をとって立てこもった事件で、警察官が持っていた「オレンジの物体」に注目が集まっていた。
鈴木容疑者が立てこもった蕨郵便局の入り口に停まった車両から警察官が降りてきたのは午後9時過ぎのこと。この時、警官隊が所持していたオレンジ色のガスボンベのような物体に注目が集まった。
ネット上では「高圧放水器の小型版かな」「これ消火器っぽいやつなんだろ?」などという声が上がっていたが、実はこれ、火災抑制剤放射器「クイックスプラッシャー」という消火器だったのだ。
装備品アドバイザーが解説する。
「クイックスプラッシャーは2019年7月に京都市で発生した『京都アニメーション放火殺人』のような事件を二度と起こさせないために開発された消火器で、素早く簡単にターゲットを狙うことができる長距離ストレート放射形になっています。ガソリン等の燃焼物に対して瞬時に放射することで蒸発や着火を抑え、火災を未然に防ぐことができる。小型タイプは2.8キロと軽量で持ち運びしやすいのも特徴ですね。今回の事件では、事前に鈴木容疑者が自宅に火を点けたことが判明しており、ガソリンをばら撒き放火する可能性を考慮していたのでしょう」
京アニ事件を教訓に開発されたクイックスプラッシャー。ガソリンによる火災は一般の消火器では消火が間に合わないケースも多く、今後は公共交通機関などに常備してもいいのではないだろうか。
(ケン高田)