今年4月の東京都江東区長選で、木村弥生区長側が有料のインターネット広告を出した問題で、ネット広告を提案したことを認めた柿沢未途衆院議員(東京15区)は、法務副大臣を辞任した。
「選挙前から区長派の区議たちにカネがバラ撒かれている、という噂が出ていました」
こう証言する江東区議が、さらに踏み込んで言う。
「同僚区議からは、木村陣営に柿沢さんのスタッフや後援会の人間が相当入って、カネを配っている、という話を聞いていましてね。だいたい2月中旬から3月、返事を保留していた人は4月の選挙直前まで持ち掛けられていたみたい。区議同士で『あなたのところには持ってきた?』って聞き合っていたくらいだった」
つまり柿沢氏には、木村区長の当選に向けての買収疑惑があるというのだ。永田町では、国会閉会後にも柿沢氏に強制捜査が入る、との見方が浮上している。そうなれば大きな影響を受けるのが、岸田文雄総理の解散戦略だ。
公明党の山口那津男代表は10月29日のBSテレ東の番組で、年内の衆院解散・総選挙の可能性について「ないとは言い切れない状況下で、しっかりと備えをしたい」と語った。
山口氏は今年度補正予算案の国会審議のほか、12月には外交日程が控えていることから「所与の日程を見ていると、なかなか窮屈という実感を持っている」と述べながらも、解散の可能性はまだあるとみていたのだ。
ただ、それも柿沢氏が辞任する前の話。不倫スキャンダルの山田太郎文部科学政務官に続き、柿沢氏の辞任ドミノが起きた上、強制捜査もあれば、とても解散どころではなくなる。
(喜多長夫/政治ジャーナリスト)