終わりの見えないハマスとイスラエルの戦い。これを陰で煽り高笑いしているというのが、北朝鮮の金正恩総書記だ。
防衛省関係者が北朝鮮の暗躍をこう分析する。
「各地で起こる戦争で死の武器商人よろしく砲弾などを売りまくり特需になっているのは間違いない。今回もハマス相手にボロ儲け状態だろう」
イスラエル軍関係者によると、ハマスがイスラエルへの奇襲攻撃に使用した武器の10%から20%は北朝鮮製だということが判明したという。加えて米AP通信も専門家情報として、「ハマスが対イスラエル戦で北朝鮮製のF7ロケットランチャーを使用している。それらの武器はイラン経由でハマスに提供されている」と断言している。
「ガザでの地下トンネルの技術も、北朝鮮がハマスに指導した可能性が高いと西側では見ている」(前出・防衛省関係者)
北朝鮮といえば、ウクライナ戦線でも苦戦するロシアに武器供与を始めたとされる。アメリカが偵察衛星からキャッチした映像では、10月に北朝鮮から1000個超のコンテナがロシアに運び込まれたことが確認。米シンクタンクでも北朝鮮から100万発を超える弾薬がロシアに供給された可能性が高いと分析している。
「正恩氏が今年9月にロシアを訪問しプーチン大統領との首脳会談を行ったが、そこで武器弾薬の提供の約束が交わされたと見られている。ロシアからの見返りは、不足するカネとミサイル技術あたりだろう」(前出・防衛省関係者)
北朝鮮では常に飢えと金欠に悩む最貧国とみなされてきた。だが一方、ここ最近はミサイルの発射実験を繰り返し、西側諸国の間では「どこにそれだけの資金があるのか?」と疑問視されていた。
自衛隊関係者がこう言う。
「韓国軍関係当局によると、北は昨年だけでもミサイル発射数は巡航ミサイルを含めて37回、合計で90発以上になった。22年の半年で発射したミサイルコストは日本円で845億円にのぼるとみられる。つまり年間では1500億円にも達する勢いで、ミサイル実験にカネが投入されている」
これは国民の食糧不足など簡単に解消できる額だという。
「米FBIでは、これらの資金の一部には北朝鮮のハッカー集団『ラザルス』などがオンラインゲームのネットワークにサイバー攻撃を仕掛け盗んだ暗号資産も含まれていると踏んでいる。つまり武器とハッキングで儲けたカネが、軍事費と上層部に流れているということです」(前出・自衛隊関係者)
この動きを止めなければ、北朝鮮はロシア以上の狂暴国家となる。
(田村建光)