2歳戦線で、スワーヴリチャード産駒の快進撃が止まらない。11月4日・東京の京王杯2歳ステークス(GⅡ)で紅一点のコラソンビートがレコード勝ち。その翌日、東京1R・ダート1600㍍未勝利でデビッドテソーロが5馬身差で初勝利。さらに、9R・百日草特別(1勝クラス)ではアーバンシックが大外一気を決めてみせた。
これで17頭の馬が勝ち上がり、通算勝利数は21勝となった。現在、ファーストリーディングサイアーを独走中。今の勢いならば、産駒デビュー初年度にして2歳リーディングサイアーになることも十分可能だ。
こうなることを予想できた競馬関係者は、ほとんどいなかっただろう。なにしろ種付け料と産駒登録数がレイデオロ700万円で128頭、ブリックスアンドモルタル600万円で107頭に対し、スワーヴリチャードは200万円で82頭なのだ。
当然のことながら、繁殖牝馬の質もレイデオロやブリックスアンドモルタルよりも劣っていた。ただし、生まれてきた産駒の評判は悪いものではなかった。例えば社台スタリオンステーションの徳竹英介場長は、某POG本の中でこう語っている。
「スワーヴリチャードはこれまでで一番、ハーツクライ寄りかなと思っています。産駒は調教を進めていっても体形が崩れない。生まれてからそのままずっといい形で成長してくれる」
その言葉どおり、産駒はデビューするや次々と勝ちまくり、いまやハーツクライの後継種牡馬の最有力と見られているほどだ。
何よりいいのは早目に使えて、早目に勝ち上がること。そのため次の目標を立てやすい。そして競馬場を問わず、コンスタントに勝ち鞍を挙げている。さらに芝だけでなく、ダートでも走る馬を出す。というわけで、スワーヴリチャードの人気は高まる一方だ。
「来年の種付け料は大幅にアップし、繁殖牝馬も質量ともにかなりのものになるだろう。セリで1億円を超す値段の馬も出てくるはずだ。今後ともスワーヴリチャード産駒から目が離せない」(競馬関係者)
ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライ、ドゥラメンテ亡き後の種牡馬戦線では、イクイノックスを出したキタサンブラックが一歩リードしている感じだが、それを追って次世代のエース級サイアーになるのは間違いないだろう。
(競馬ライター・兜志郎)