毎秋、JRA(日本中央競馬会)が最終レース終了後の東京競馬場で開催している、全国ポニー競馬選手権「ジョッキーベイビーズ決勝大会」(芝直線400メートル)。出場資格は小学4年生から中学1年生で、出走馬はJRA所属のポニーから抽選で選ばれる。
第13回目となる今年は、ルメールとJRA騎手リーディングを争っている川田将雅の長男で、東海地区代表決定戦を勝ち抜いて出場した川田純煌(かわだぎんじ)君がツクモビジン号で優勝し、スタンドのファンを大いに沸かせた。
純煌君は11歳の小学6年生。実はその後、関西テレビの競馬チームが競馬ファン向けに開設しているYouTubeチャンネル「カンテレ競馬」が、決勝大会で優勝を果たすまでの純煌君の挑戦を、ドキュメンタリータッチの動画にまとめて配信している。
それがまた、実に面白いのだ。インタビュアーはお笑いコンビ・ビタミンSの「お兄ちゃん」。まず、決勝大会での勝敗を分けるポイントを尋ねられると、
「スタートで遅れたら、馬も遅れてしまう。(スタートを決めて)逃げ切りたい」
とキッパリ。さらに、日本一への決意を問われて、
「川田将雅の息子とわかっているから、みんなの期待に応えて必ず勝ちたい」
そして「将来の夢」を、次のように力強く宣言してみせたのだ。
「世界のトップジョッキーです」
そうして迎えた決勝大会。発走直前のスタンドには父親とルメールの姿があった。
純煌君が手綱を握るツクモビジン号は、スタートでやや後手を踏んだものの、直線半ばからジリジリと追い上げ、ゴール手前で先頭に躍り出る。そのままリードを保って見事、1着でゴールイン。その様子を「かぶりつき」で見ていた川田はゴールイン直前、
「勝て!」
と絶叫。純煌君の1着を確認するや、スタンドのファンに向かってバンザイとガッツポーズを送り、喜びを爆発させたのだった。
目尻が下がりっぱなしの川田を横目に、盟友のルメールはカンテレのカメラに向かって、純煌君の騎乗ぶりを次のように絶賛してみせたのである。
「さすが川田ファミリー!」
レース前のインタビューで「お父さんと戦いたい。勝てるように頑張りたい」とも語っていた純煌君。川田父子が東京競馬場のターフで叩き合いを演じる日が楽しみだ。
(石森巌)