巨人・中田翔、西武・山川穂高は事実上の「ノンテンダー」だとして、球界内をざわつかせている。「ノンテンダー」はメジャーリーグで用いられる用語で、球団が来季の契約を提示せず「市場に放出する」ことを指す。事実上の自由契約であり、主に成績がコストに見合わなくなった際に用いられる手法だ。日本では2021年オフに日本ハムが、FA権を取得している大田泰示(現DeNA)ら3選手と翌年の契約を結ばなかったことで、クローズアップされた。
中田は今季、巨人と3年契約の1年目だったが、契約条項に盛り込まれていた「オプトアウト」で自ら契約解除を申し出て、自由契約選手となった。山川は今季取得した国内FA権を行使してのもので、「ノンテンダー」とは異なるが、実際はそう仕向けられた色合いが濃い。スポーツ紙遊軍記者は、その内幕を次のように読み解く。
「中田の場合は巨人に残ってもトレード要員になるか、FAで選手を獲得した際の人的補償リストに載せられる可能性がある。かといってFA宣言して他球団に取ってもらっても、その球団は選手を人的補償で出さなくてはならない。それでは獲得に二の足を踏まれる可能性がある。中田に興味を示す中日などが、まさにそれです。選手層が薄いチームは、人的補償を避けたいですからね」
中田に関しては「当初からの出来レース」(前出・遊軍記者)との指摘もあるが、山川は完全に追い込まれてのFA宣言という見方が強い。スポーツ紙デスクが言う。
「女性スキャンダルを起こしたとはいえ、FA権を取得したのに西武が単年で、しかも大幅な年俸ダウン提示では、いらないと言っているようなもの。テイのいい厄介払いです。3回も本塁打王に輝いた山川にすれば、プライドは傷つきますよね」
ただ、両選手とも移籍先で活躍すればいいだけの話。来季の中田、山川の意地とプライドが爆発するプレーは見ものだ。
(阿部勝彦)