ロシアが一方的に併合を宣言した、ウクライナ南部ヘルソン州にある「カホフカ水力発電所ダム」を破壊したのは誰か。この問題を巡っては当初、ロシア軍による破壊工作説とウクライナ軍による破壊工作説が、双方の主張も含めて交錯していた。
ところがその後、カホフカダムはロシア軍の支配下にあること、ロシア軍がダムにかかる橋を事前に破壊していたこと、ダムの破壊で利を得るのはロシア側であること、などの点から、ロシア軍による破壊工作だったことが有力説として浮上。米シンクタンクの戦争研究所も「ロシアが意図的にダムを破壊した」との分析結果を公にしている。
プーチン大統領とロシア軍の動静に詳しい国際軍事アナリストが指摘する。
「プーチンとロシア軍は今、ウクライナ軍による反転攻勢に震え上がっています。結局、ダムの破壊はヘルソン州への反転攻勢を阻止するための自爆作戦だったということ。ちなみに今回のダム決壊では、ロシア軍が占領した地域の住民も含めて、4万人以上が命の危険にさらされた。プーチンにとって、ウクライナの住民など、虫けら同然の存在なのです」
それだけではない。プーチンとロシア軍はカホフカダムの自爆作戦に続いて「ザポリージャ原発」の爆破作戦まで画策し始めているというのだ。
本サイトが5月8日に公開した記事(また常軌を逸した行動に…プーチンが「ザポリージャ原発4号機」の原子炉建屋に「爆薬」を仕掛けさせた)でも指摘したように、ロシア軍の支配下に置かれているザポリージャ原発を巡っては、ロシア軍によって同原発4号機の原子炉建屋内とその周辺に「爆薬」がセットされたことが、すでに確認されている。
「原子炉の爆破は、限定的な戦術核の使用と同等か、それ以上の核被害をもたらします。あまり知られていませんが、戦術核は撤退の際に使用するというのが、軍事作戦上の常識になっているのです。ザポリージャ原発はウクライナ軍による反転攻勢の主要ルートに位置しており、ロシア軍が劣勢に追い込まれた場合、原発に時限装置を仕掛けて撤退するという、究極の自爆作戦です」(前出・国際軍事アナリスト)
窮鼠プーチンの狂人的な極悪非道ぶりは、どこまでもエスカレートしていく──。