秋のGⅠシリーズが続く中、東京、京都は最終週を迎える。その東京の掉尾を飾るのは、恒例となったジャパンカップ。毎年、見応え満点のレースが繰り広げられているが、招待馬である外国勢は近年、芳しくない。優勝馬は05年のアルカセット以来出ておらず、2着さえない。米国のブリーダーズCと香港国際競走の狭間のため、ローテーションや賞金の兼ね合いもあり、本気で挑んでくる外国馬がきわめて少ないのだ。
また、欧米の競馬先進国は、シーズンオフに入る前ということも影響しているのかもしれないが、それ以上に日本馬のレベルが年々上がっており、外国勢には分が悪い、と敬遠されつつあるのも確かだろう。
しかも今年の日本勢は、世界ナンバーワンのお墨付きを得ているイクイノックスが参戦。この秋初戦となった前走の天皇賞・秋を世界レコードで圧勝し、その勢いで臨んでくるとあっては、リスクの多い外国勢が控えるのも当然だ。
それでも今年はGⅠを2勝しているイレジンが来日予定で(ハーツクライ産駒のコンティニュアスは回避)、地方からはチェスナットコートが参戦してくる。地方馬といえば、シンボリルドルフ(85年)の2着に頑張ったロッキータイガー(11番人気)を思い出すが、9歳という年齢ではどうか。健闘を祈りたい。
まずは、どんな傾向があるのか、過去のデータを見てみよう。
02年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単での万馬券は4回(馬連は2回)。この間、1番人気馬は8勝(2着4回)、2番人気馬は1勝(2着5回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回。大きく荒れることは少ないが、さりとて、そう簡単に人気サイドで収まらないことも確かなようだ。
年齢的には充実著しい4歳馬が群を抜く好成績をあげていて、過去21年間で11勝(2着7回)。対して6歳以上の古馬は1勝(2着1回)。勢いに乗る若駒(3、4歳馬)に目をつけるのが馬券の筋ということになるが、穴党としては〝怪物〟イクイノックスを絶対視するわけにはいかない。
期待を込めるのは、昨年のダービーでイクイノックスの追撃を振り切って勝利を収めたように、力は間違いなく最上位のものがあるドウデュースだ。
2番人気に支持された前走の天皇賞・秋は、7着と期待を裏切る結果だった。馬体重は前走比プラス4キロと見た目も重め感はなかったが、体にしまりがなく、やはり8カ月半ぶりの実戦(3月のドバイターフは取消)がこたえたというほかなかった。脚部不安明けで体調が完全に整わなかったことに加えて、鞍上も急遽、乗り替わりになり、7着凡走もやむをえない結果とみるべきだろう。
しかし、改めて期待する価値は十分にある。休み明けを使われたことでガス抜きができ、この中間の雰囲気は落ち着き払って好気配。稽古の動きも軽快で本来の姿にほぼ戻ったとみていいのではないか。
ダービーを勝って以降、海外遠征での2戦(ニエル賞4着、凱旋門賞19着)は、この馬らしいパフォーマンスを披露できないでいたが、まだ完調とは言いがたい状態で挑んだ前走の京都記念では、他を寄せつけない完勝劇を演じたほど。
「(休み明けを使って)上積みは十分見込める。まともだったら、という思いもある。やれていい」と、友道調教師をはじめ、厩舎スタッフはヤル気のほどを見せている。
世界最強馬のほか、牝馬三冠を達成したリバティアイランドら豪華メンバーが相手でも、勝ち負けになっていい。