陸上女子中距離界のホープとして、目を見張る戦績を残している田中希美が「転向」に言及した。
それは日本テレビのYouTubeチャンネル〈日テレスポーツ【公式】〉に出演した際のこと。今シーズンを振り返る中で、まずは8月の世界陸上(ブダペスト)女子5000メートルで8位に入賞したレースを振り返った。予選では従来の日本記録を14秒以上も更新したが、
「心と体が一致したレース。見ている人が『希実らしいな』という走りができた」
今シーズンで最も納得のいくレースだったというのだ。そして昨年10月に行ったケニア合宿を振り返ると、マラソンへの挑戦について語ったのである。
「(マラソンは)まだ取り組みたいというほど具体的に思ってないんですけど…2時間17、18分くらいで走れた選手がいて、合宿の時にはまだ2時間20分を切ってなかったと思うんです。(中略)マラソングループと練習してて、マラソン選手のトラック練習に全部つけただけでも、私が『やったー!』となるくらいレベルの高い練習で。逆にその人たちのロードの距離走には全然つけなかったので、今はマラソンやってもダメかなと思うんです。でもその人たちの練習を間近で見たことで、普段こうやっていたら2時間20分切れるんだっていうのは、すごくヒントになりました」
いやいや、実に強い意欲を感じさせる言葉である。
10月15日開催されたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で、女子1位・鈴木優花、2位・一山麻緒がパリ五輪2024日本代表に内定。悪天候の中ではあったが、鈴木が2時間24分09秒、一山が2時間24分43秒と、平凡なタイムだった。
女子マラソンの日本記録に目を向ければ、1位・野口みずきが2時間19分12秒(2005年)。2位は渋井陽子の2時間19分41秒(04年)、3位が高橋尚子で2時間19分46秒(01年)と続く。
1000メートル、1500メートル、3000メートル、5000メートルで日本記録保持者の田中が、2時間17分を念頭に本格的に練習を始めたとすれば、マラソンの日本記録を塗り替える日が来るかもしれない。そんな希望を抱いてしまうのだった。
(所ひで/ユーチューブライター)