「キャロル」の元メンバーで肺ガン闘病中だった歌手のジョニー大倉さんが19日、肺炎のため入院先の都内の病院で死去した。62歳だった。その訃報とともに話題になったのが、長年にわたる矢沢永吉(65)との確執だ。
「世間では、矢沢と俺がケンカ別れしたって思われているけど、冗談じゃない。生き方が違うだけだった」
1985年、ジョニーは、雑誌のインタビューで矢沢についてこう語った。
結局、キャロルは3年で解散。矢沢はソロに、ジョニーは音楽活動だけでなく役者の世界へ。1981年には映画「遠雷」で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞、「戦場のメリークリスマス」(1983年)ではカネモト役を演じ、強烈な印象を与えた。
取材したライターによれば、当時、ジョニーは矢沢とのこんなエピソードを披露したという。
「あれは『戦場のメリークリスマス』の後だった。ラジオの収録が終わって、一杯飲みに行こうと六本木の交差点で立ってたんだ。すると目の前にリムジンが停まってさ、窓が開くと矢沢がいたんだ。『何してるんだ』って言うからさ、これから一杯やろうと思ってって言ったら、『じゃあ、一緒に飲もうぜ』ってことになった。車から降りると思ったら『俺は銀座でしか飲まない』とか言って、俺を車に乗せたんだ。銀座なんて高い店には行けないよって言ったら、『金のことは心配するなよ、俺は成り上がりだぜ』って笑ったんだ」
着いた先は、いかにも高級そうな店だった。
「しかも、そんなに狭い店じゃないのに客が1人もいない。俺は内心“流行ってねえ店だな”って思った。酔いが回ってきた頃、矢沢が『ギター持ってるだろ。弾いてくれよ』って言うんだ。それで俺が弾きはじめると、矢沢が歌い始めた。きっとさ、俳優として世間に認められた俺を祝ってくれたんだなって、後で思ったよ」
この日、2人は、店の閉店時間まで飲み続けたが、結局客は1人も来なかったという。そう、矢沢はジョニーと飲むためだけに、店を貸切りにしていたからだ。合掌……。