もう「福袋」を買うのには疲れた。11月27日はスターバックスの「福袋抽選発表会」だった。なにしろ前週末に来年の福袋をチェックしようとしたら、11月16日に抽選エントリーが終わっていた。11月初めといえば、まだ気温25度超えの夏日もあった。スタバでアイスコーヒーを飲んでいたのに「来年の福袋はどうしよう」なんて考えられない。
スタバの福袋がまだ3000円と5000円、店頭で買えた2010年代は牧歌的かつサイコーにお得感があった。コーヒー豆2袋にドリップコーヒー、ドリンクチケット、ペアのマグカップやタンブラー、クマのぬいぐるみに何故かアイスクリープのディッシャーやコースターまで入って、5000円。自分の趣味に合わないマグカップやタンブラーが入っていても、同僚にプレゼントするほど心は満ちたりていた。ディッシャーはポテトサラダに使っている。
ところが新型コロナのパンデミックを機に(スタバはコロナ前の2018年から)従業員が正月休みをとる時代の流れで、福袋は事前抽選という形になった。
タリーズコーヒーやカルディコーヒー、ヨドバシカメラやビックカメラなどでも福袋の予約ないし抽選エントリーが始まり、11月末で抽選エントリーが終わったところも。
大丸松坂屋や高島屋、楽天でも福袋のオンライン販売が始まり、ブラックフライデーのセールなのか福袋なのか、区別がつかない。さらに福袋の値段が1万円からに爆上がりし、見ているだけで疲れてしまう。
おまけに11月からエントリーし、ボーナス前に1万円以上はたいて当たったと喜んだのも束の間、新年早々、受け取った福袋の中身が大ハズレだった時の絶望感といったら。
ミスタードーナツのように、今でも事前に内容を告知、店頭販売にこだわってくれるショップもあるが、こちらも年末の朝から長蛇の列を覚悟しなければならない。
こんなことになったのは、フリマアプリで福袋限定商品を転売する「転売ヤー」が現れてからだ。フリマアプリには毎年、各ブランドの限定トートバッグや限定商品が並び、福袋の代金1万円よりも高値がついている。そのブランドへの愛着、購買意欲なんてなくても、抽選に当たれば中身をバラしてフリマサイトに出品。1万円の元手を2倍、3倍に増やせる。家電量販店の福袋でiPhoneやプレイステーションが当たれば、転売で10万円以上儲かることも。ブランドに愛着もないから、福袋の中身に当たり外れもない。ますます転売ヤーが金儲けのために抽選エントリーして、欲しい人の当選確率が下がる悪循環だ。
福袋抽選に当たった人には1月上旬に発送します…って。そんなの初売りでも福袋でもない。こうして新型コロナのせいでまたひとつ、季節の風物詩が消えてしまった。
(那須優子)