秋の気配が日一日と強まる毎日だが、猛暑が続いたこの夏、食欲が落ちたにもかかわらず、思いのほか痩せなかった。そんなケースをよく聞くが、その原因は、突き詰めると「体温」にあることが少なくないという。
「『運動や食事制限を頑張ってるのに体重が減らない』、こう訴える方がいる。調べてみると基礎代謝量が低い。上がっていない。原因は体温の低さ、すなわち冷え症にあるんです」(スポーツインストラクター・大川香さん)
大川氏によれば、医学的には体温が1度下がると免疫力は30~40%低下するという。大川氏が続ける。
「近年、低体温(平熱が36度以下)の人が増えている。この人たちの多くは身体の冷えを訴えています。低体温になると、免疫力が低下し、基礎代謝が落ちて、脂肪はつきやすくなり、体脂肪が上がり、痩せづらい体になるんです。さらにさまざまな不調をきたしやすくなります。逆に体温が1度上がると免疫力は5~6倍あがるといわれていて、筋トレも効果はありますが、同時に食事の内容が大事でなんです」
太る原因のすべてが冷えからくるものではないが、冷えの解消でダイエットの効果は高まるという。その冷えは血行不良と筋肉不足が大きな原因だが、そのもとが食べ物にあるという。
東洋医学に詳しい渡辺正司薬剤師が言う。
「東洋医学では陽性食品は体を温めてくれるといいます。陽性食品をとることで、体にエネルギーを補給し、体温を上げ身体の代謝を高める。陽性食品の簡単な見分け方は、『色が濃いもの』や『寒冷地方の人が好む食品』と覚えるとよい」
具体的に言えばショウガ、にんじん、にんにく、玉ねぎ、やまいも、大根、とうがらし、ごぼうや赤身の肉、紅鮭、卵、チーズ、明太子、小豆などが該当するという。
何か、ごく普通に食べているものばかりのように思えるのだが、中川貴子管理栄養士は、こう指摘する。
「現在は特に若い人に不足が目立つ。陽性食品は根菜類など固いものも多く、敬遠されているようです」
体温を測ることは簡単にできる。自分の健康管理も兼ねて毎日体温のチェックがダイエットの第一歩に繋がるかもしれない。
(谷川渓)