まさしく男子ゴルフ界の超新星である。今季最終戦の国内メジャー大会「日本シリーズJT杯」が12月2日、東京よみうりCCで行われ、蝉川泰果が通算15アンダーで優勝した。4月の関西オープン以来となる今季2勝目で、通算4勝目を上げた。22歳326日は、大会史上最年少優勝。最終日は4バーディー、2ボギーの68で回って、中島啓太と金谷拓実との激戦を制すると、
「優勝できて、よかったです。努力して頑張ってよかった。嬉しいのひと言しかないです。自分らしくいいプレーができました」
と涙をぬぐった。ゴルフライターが強さの原因を解説する。
「武器は300ヤード超のドライバーショットです。下半身の体幹ががっしりしているため、ワイドスタンスからマン振りしても軸が崩れないのが特徴ですね。軸が崩れないので、回転力を使って安定したスイングができています」
タイガー・ウッズに因んで「タイガ」と名付けられたパワーヒッター。2023年はプロとして初めてフルシーズンを戦い、4月の「関西オープン」でプロ1勝目を飾ったが、その後は「ゴルフパートナーPRO-AMトーナメント」「日本プロ」「横浜ミナト チャンピオンシップ」「ダンロップフェニックス」で2位と、勝てなかった。
「怖いもの知らずだったアマチュア時代と違って弱気になり、ゴルフと向き合えず、モチベーションが落ちることもあったようです。そこから『自分自身との闘い』『他人のスコアを見ないこと』だけを考え、気持ちを整理したことで自信を取り戻したといいます」(前出・ゴルフライター)
メンタル面でも進化した蝉川。年間獲得賞金ランキング3位以内に与えられる欧州ツアー出場権も獲得して、2024年は積極的に海外に挑戦する。東北福祉大学の先輩・松山英樹をも脅かす存在となれるか。
(田中実)