大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の開幕まで500日を切る中、万博協会(日本国際博覧会協会)が、前売り入場券の発売を開始した。
万博協会は入場券の販売目標2300万枚のうち、その6割にあたる1400万枚を前売り入場券として発売。そのうち700万枚を経済界に割り当て、残り700万枚を一般向けや自治体向けに販売するなどして、運営費に充てるとしている。
だが、開幕へ向けた雲行きは日に日に怪しくなるばかりだ。大阪・関西万博では60カ国に上る海外パビリオンの建設が予定されているが、いまだひとつのパビリオンも着工に漕ぎ着けていない。しかもその半数は工事業者すら決まっておらず、メキシコやエストニアが大阪・関西万博からの撤退を表明するなど、予断を許さない状況が続いている。
費用をめぐる大問題も噴出している。国、大阪府・大阪市、経済界が3分の1ずつ負担する会場建設費は、建設資材の高騰などを受け、当初想定の1.9倍にあたる最大2350億円にまで膨れ上がることが、すでに判明している。これに加えて日本館の建設などに必要となる国の負担も、約837億円に上ることが明らかになっているのだ。いったいどこまでカネをジャブジャブとつぎ込むつもりなのか。
そんな中、新たな懸念として浮上してきているのが、発売が開始された入場券の売れ行きである。万博協会関係者が明かす。
「1970年の大阪万博には『月の石』、2020年の愛知万博にも『マンモスの冷凍標本』などの目玉展示物がありました。ところが大阪・関西万博には目下、客寄せにつながる目玉が存在しません。今のところ開幕へ向けたムードも全く盛り上がっておらず、このままでは入場券が大量に売れ残ってしまう恐れがあります」
その場合、誰が尻拭いをさせられることになるのか。万博協会関係者が続ける。
「協会は運営費として、入場券料収入800億円超を見込んでいます。あまり大きな声では言えませんが、仮に入場券が売れ残ってしまった場合は、国と自治体がその穴埋めをすることになっており、公費負担がさらに増加する可能性があるのです」
公費負担の原資が税金、すなわち国民の血税であることは言うまでもない。大阪・関西万博の開催意義が改めて問われるゆえんである。
(石森巌)