将棋の藤井聡太八冠に強力なライバルが登場した。
18歳の最年少棋士・藤本渚四段が12月4日、大阪・関西将棋会館で行われた「第65期王位戦」の予選で井田明宏四段と対局し、93手で勝利した。
藤本四段はこれで今年度の成績を31勝6敗とし、1位の藤井八冠の31勝5敗に続く勝率ランキング2位を維持。直近の10対局ではわずか1敗しかしておらず、快進撃を継続中。昨年9月には第71回三段リーグを13勝5敗の1位の成績で突破し、高校2年生・17歳で四段昇格を決めた期待の新星だ。
将棋ライターが語る。
「まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの藤本四段ですが、今年2月には東京・千駄ヶ谷の将棋会館で行われる予定だった神谷広志八段との対局で思わぬ敗戦を喫し、12月のデビューから無敗の6連勝が途絶えてしまいました。もっともこの敗戦にはわけがあり、実は東京対局であるにもかかわらず、大阪市の関西将棋会館に向かってしまったのです。藤本四段自身もまさかこんなポカで自身の連勝がストップするとは思ってもみなかったでしょうね。ただ、本人はそれほど落胆した様子は見せていなかったので、さっさと次の対局に向け切り替えていたのかもしれません」
そんな藤本四段は、藤井八冠がプロ入り直後に29連勝した時期はまだプロ棋士養成機関の奨励会に入ったばかりだったが、勝ち続ける藤井八冠について当時、「どういう気持で見ていましたか?」とメディアに質問されると「早く負けてくれという気持ちは強かったです。嬉しくはなかったですし、悔しかったです」などと答えている。この時、藤本四段はまだ小学生だったことを考えると、末恐ろしさを感じずにはいられない。近い将来、藤井八冠を脅かすライバルとして台頭してくるのは間違いないだろう。
(ケン高田)