安倍総理があえて総選挙に踏み切ったのは、与党・自民党の勝利を確信したからに他ならないとはもっぱらの声だが、そうした中でも苦戦が予想されているのが、東京14区の松島みどり氏(58)だろう。何しろ、うちわを配布した行為が公職選挙法の禁止する寄付行為に該当するとして、法務大臣を辞任したにもかかわらず、その後も何事もなく本会議に臨むなど、厚顔ぶりは、やはり妖怪そのものなのだ。
「辞任後1週間もせずに、本会議や会派の集まりに顔を出したものだから、周りの議員から『図太い神経だな』と言われていた。自民党のベテラン議員から、『今回の選挙の引き金は小渕と松島』だと批判されても、私は関係ないと知らぬ顔をしていました」(自民党関係者)
まるで「お歯黒べったり」のような高飛車なもの言いや威張った態度も記者たちの間では有名な話だ。9月に法務大臣として初登庁した時には、拍手で出迎える職員が少ないと怒って帰ろうとしたこともあった。だが、選挙直前になり、支援者の前では「猫娘」よろしく態度を豹変させたというのだ。支援者の男性が語る。
「11月22日、地元で行われた集会では、畳に座り土下座せんばかりの勢いで頭を下げたので驚きましたよ。彼女が頭を下げるのを初めて見た。今回の選挙は完全なおわび行脚。プライドの高い彼女にどこまで続けられるか疑問ですがね。実際、この前地元を回った時に有権者から罵声を浴びせられると、とたんにムッとした表情をしていましたから」
鈴木氏も松島氏の前途に厳しい見方をする。
「対抗馬で民主党に復党した木村剛司〈たけつか〉氏(43)は、野党の統一候補として出馬。この2年間、選挙に備えていちばん地元を歩いているだけに支持者も多い。勝利する可能性は十分あります」
自民党内でも安倍総理に反旗を翻す「女郎蜘蛛」と危険人物扱いされているのは、野田聖子氏(54)だ。発端は今年5月に発売された月刊誌「世界」(岩波書店)で、安倍総理が提唱する集団的自衛権の議論に異議を唱えたことだった。
「結局、安倍総理の逆鱗に触れて、9月の内閣改造では浪人の身に。女性閣僚の高市早苗氏(53)や稲田朋美氏(55)が、右翼団体代表の男性と日の丸をバックに議員会館で写真を撮り、同団体のホームページに掲載された時、おとがめなしだったのとは対照的でした。不満は募っているでしょうから選挙で目標に掲げる『絶対安定多数』の266議席を確保できなければ、『アンチ安倍』のノロシを上げるかもしれません」(政治部記者)
安倍自民にとっての脅威は、敵の野党ではなく、身内の女妖怪にあるようだ。