年の瀬も押し迫った12月28日に行われるホープフルSは、23年のいわば幕引き。翌日にはダート界の王者を決定する東京大賞典(大井)が控えており、競馬ファンにとっては、まさに慌ただしい暮れとなる。
このレースは14年にオープン戦からGⅡ戦に、さらに17年からはGⅠ戦に昇格して以降、春のクラシックを目指す素質馬が多くそろうことから、同舞台で争われる皐月賞を占う重要な一戦として注目されるのは当然。マイル戦で争われる同じGⅠ戦の朝日杯FSとは趣きを異に、目の離せない一戦となった。
過去に勝利を収めた16年レイデオロ、19年コントレイルのような大器が今年も潜んでいるか、どうか。
迷うところだが、最も期待を寄せてみたいのは、ディスペランツァだ。
前走の京都2歳Sは6着。道中は最後方からの追走で、直線は早めに仕掛けたのが裏目に出た格好だった。しまいは甘くなったが、それでも最速の上がり脚でコンマ2秒差。上々の内容だった。
「少し落ち着きを欠いて後ろからの競馬になったが、力のあるところを見せられた。これからが楽しみな馬」とは、岡調教師の弁。
この中間はうるさいしぐさも見せず、実にいい雰囲気。稽古内容も素軽くリズミカルで、さらに良化している印象だ。
距離は延びても問題なさそうな馬体、気性だが、これまでの3戦すべてが2000メートル戦。ここは力を出せる条件がそろった舞台とみていいだろう。
血統(母系)が、またいい。祖母は愛GⅠプリティポリーS(芝約2012メートル)の覇者で、5代母もGⅠ勝ち馬。近親、一族にも活躍馬は多く、チャンスは十分あっていいはずだ。
穴中の穴は、ロジルーラーだ。前走の葉牡丹賞は、3カ月ぶりの実戦。前走比10キロの体重増で、やや重め残りの仕上がり。道中、折り合いを欠く場面もあり、5着に敗れたのも、やむをえない結果だった。
それでも、勝ち馬とは0.5秒と、そう大きな差はなかったことから、力を秘めていることは確か。巻き返しがあっていいはずだ。
この中間はいたって順調。1週前の追い切りも実によかった。目黒記念など7勝を挙げたムスカテールの弟で、ウイングドラヴ(愛ダービー)など、こちらも近親、一族に活躍馬が多い良血。人気薄だが、一発があって不思議はない。
GⅡ戦に昇格してからの過去9年間で1番人気馬は5勝(2着1回)、2番人気馬は2勝(2着1回)と、比較的順当には収まっているが、1、2番人気馬によるワンツー決着はわずか1回。22年は14番人気のドゥラエレーデが勝利を収めて3連単で240万円馬券が飛び出す大波乱だった。2年連続も大いにあるものとニラんでいる。
年明けの1月6日に行われる中山金杯は、インダストリアを狙う。
前走のスワンS(8着)から一気に距離を延ばすが、中山コースは〈3 0 0 2〉と得意にしている馬。陣営もそれを意識しての挑戦だ。最近はズブさが出てきており、血統からはむしろ距離が延びてこそ。状態はさらによくなっており、やれていい。