いよいよ国技である大相撲の「消滅」が現実味を帯びてきた。
日本相撲協会が12月25日、来年の初場所(2024年1月14日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表したが、初場所の力士総数が599人となった。600人を下回るのはなんと1979年春場所(585人)以来、45年ぶりの異常事態なのだ。
「過去最多の力士数は『若貴フィーバー』真っ只中の94年夏場所(943人)でした。この30年で力士総数が40%も落ち込んだことになります。これだけ競技人口が減っているスポーツは他にありません」(相撲担当記者)
つまり「力士なんかにはなりたくない」というその不人気ぶりが露呈してしまったわけだ。今年の新弟子検査合格者は53人。こちらも2012年の56人を下回り過去最少を更新した。若貴フィーバー最盛期の1992年、93年は2年連続で新弟子希望者が200人を突破したこともあった。
「相撲協会では、来年初場所から新弟子検査の体格基準を撤廃するんです。その代わり、身長167㌢以上、体重67㌔以上に満たない志望者は、運動能力テストを科すことを決めた。ただ、これで志願者が増えるとは思えません」(前出・相撲担当記者)
大相撲の入門希望者の激減傾向が続くのは相撲協会の「自業自得」と言っても過言ではない。2010年に野球賭博問題を起こしたほか、横綱朝青龍の泥酔事件などあらゆるスキャンダルが発生した。そして17年には横綱日馬富士の暴行事件。協会と貴乃花親方のすったもんだの睨み合いとなり、結局、貴乃花親方が相撲協会を退職するという幕切れにもなった。そんなネガティブなイメージばかりが目立ってしまっているのだ。
「親方株が取得できない力士がほとんどで、人気力士だった豊ノ島でさえ引退してから相撲協会に残れない異常な状態が続いていますからね」(別の相撲担当記者)
来年初場所後には2年に一度の理事改選がある。
「現職の八角理事長(元横綱北勝海)が出馬しないという情報もあります。芝田山親方(元横綱大乃国)、春日野親方(元関脇栃乃和歌)らがポスト八角を虎視眈々と狙っています」(前出・別の相撲担当記者)
八角体制では力士だけではなく事務方の残業手当の未払いなどの不祥事も明らかになっている。どこをどう見ても魅力あるスポーツ団体とは思えないことばかりが今も継続中なのだ。
(小田龍司)