2021年11月に一斉閉店した、兵庫県尼崎市の歓楽街「かんなみ新地」。以降はしばらく空き家になっていたが、その後、数軒の置屋のオーナー達が飲食店に業態を変更し、営業を続けていた。2022年6月には、尼崎市がかんなみ新地一帯の土地建物を取得し、更地にした後に売却すると発表していたことから、飲食店の営業は期間限定とされていたのだ。
昨年11月にかんなみ新地を通ってみたところ、数軒の飲食店が営業を続けていた。だがつい先日、再び訪れると、全ての店が閉店しており、旧置屋には「所有・物件管理 尼崎市」という貼り紙がされている。たまたま顔なじみだった飲食店オーナーがいたため、話を聞いてみた。
「だいぶ前から、市の方から立ち退き宣告はされていたのですが、昨年12月末で全て閉店になりました。本当なら昨年夏と言われていたので、もった方だと思います。見回りをしていたのは防犯のため。店の外に置いてある備品が盗まれないよう、定期的に見に来ています。閉店後はまた近くで飲み屋をやるというオーナーもいますね」
旧置屋の跡地については、一部でこんな噂もあるという。
「事実は不明ですが、今の長屋をそのまま再利用し、若者向けの雑貨屋や洋服屋などを入れてオシャレに生まれ変わらせる、という話もありますね。他には駐車場にするとか、更地にしてマンションが建つとか様々な噂がありますが、実際にどうなるかはまだわかりません。どちらにせよ、防火上の都合で火を扱う飲食店は営業できないんですけど」
色街の閉鎖後も放火の恐れがあるからと、警備員がしばらく巡回をしていたのを覚えている。ちなみに近所の飲食店で、地元の人は何ができてほしいのかと尋ねると、「ショッピングモール」「家電量販店」などの答えがあった。
閉店から2年、完全閉鎖となった元色街は一体、何に生まれ変わるのだろうか。
(カワノアユミ)