これはあくまで筆者の私見だが、元来、俳優やミュージシャンなどの職業を志す者は自己顕示が強く、わがままだ。だからこそ凡人にはない才能を開花させ、それが人々に感銘を与える。以前はある意味、作品が優れてさえいれば「ま、私生活は、いいんじゃないの」程度の感覚で彼らを見ていたものである。
ところがコンプライアンス厳守の現代では、そんな理屈が全く通じなくなった。かつては典型的なスキャンダル女優とされてきたこの人の不倫も、活動休止を余儀なくされる大打撃をもたらしたのである。広末涼子だ。
広末とフレンチシェフ・鳥羽周作氏とのW不倫が発覚したのは2023年6月。その後、広末はキャンドル・ジュン氏と離婚する。昨年末には一部報道により、鳥羽氏も妻との離婚成立が報じられたこともあり、2024年元日の「スポーツニッポン」には、2人が年内に結婚する、との記事がブチ上げられた。
仮に広末が鳥羽氏とゴールインとなれば、3度目となる再々婚だ。ただ、筆者にとってやはり思い出深いのが、1回目の結婚報告。2003年12月15日、都内のホテルで行われた妊娠&結婚記者会見に尽きるように思う。
というのも広末はその年の10月、早稲田大学を自主退学。その際の会見で筆者の質問に対し、「これからは女優業に専念します」と決意表明した。そんな舌の根も乾かぬ2カ月後というタイミングでの「デキ婚」発表に、驚愕したのである。
しかも会見では満面の笑みで、
「(妊娠)5カ月に入りました。来年の5月が予定日です。結婚を決めたのは、昨年。突然の話でお騒がせしましたが、女優として素敵な大人になりたいと思っています」
1ミリたりとも悪びれる様子はない。その肝の据わり方に、思わず椅子から転げそうになった記憶がある。
デキ婚発表前には映画会見で急に泣き出したり、タクシーに無賃乗車したり、はたまた深夜の徘徊が写真誌に撮られまくるなど、そのプッツンぶりが次々に報じられた。さすがにこの会見でファン離れが急加速し、筆者自身も彼女への関心が一気に引いていくのでは、と思っていた。
だが、しかし。彼女は期待を裏切らなかった。あのデキ婚発表会見からわずか4年と3カ月。広末は岡沢高宏との離婚を発表。理由については、生活のすれ違いや収入格差など、興味本位の憶測も飛び交ったが、それは2人にしかわからないだろう。
それよりも、スキャンダルにまみれながらもまた一歩、リアリティーが増したであろう女優としての広末の芝居に期待が高まった。
鳥羽氏とゴールインするかどうかはわからないが、今後も彼女には芸能界のスキャンダル女優として、その輝きを放ち続けてもらいたい。そう願ってやまないのである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。