「瓢箪から駒」ということわざがある。腹痛で119番すると、病院の医師から妊娠を告げられ、急遽入籍、そして記者会見という運びとなったといわれるのが、江口洋介と森高千里のカップルである。
2人は95年にラジオ番組で知り合い、その年の8月に阪神淡路大震災のチャリティー・コンサートでの再会をきっかけに、交際をスタート。96年1月には江口が「恋人です」と熱愛宣言したものの、その後、2人の口から結婚に関する話題が出ることはなかった。
ところが熱愛宣言から3年の時を経た、99年6月3日。突如、マスコミ各社に送られてきたのが、江口と森高の入籍を知らせるFAXで、その文面にはこう記されていた。
〈優しくて、頑固で、意外にも家庭的で、思いのほか三枚目の彼女とのびのびとした家庭を作っていきたいと思っています〉
一夜明け、東京・赤坂プリンスホテルで行われた会見に、2人が揃って登場。
「前年の秋から一緒に住もうということになって、ゴールデンウィークの前に(森高の)両親に挨拶しました」
と切り出したのは江口である。「妊娠という話もありますが」という質問に対し、その事実をあっさり認めると、
「そうなんですよ。子供が欲しいねなんて話していたら、5月の終わりに彼女がお腹をこわして、都内の病院に行ったんです」
その後の顛末を説明したのは森高だ。
「結局、急性腸炎だったんですが、お医者さんから『妊娠してますか』って聞かれて『違います』って答えたんですが『されてますよ』って。ただ、おなかが痛くて、それどころじゃなかったです」
幸い病状は軽く、入院は1日で済んだものの、救急車での入院騒動となれば、マスコミに知られるのは時間の問題だ。しかも結婚前の妊娠となれば、痛くもない腹を探られる可能性も否定できない。スポーツ紙芸能デスクによれば、
「江口はかねてから、結婚が決まった場合はマスコミにスクープされるのではなく、あくまでも自分たちの口から発表したいと思っていたようなんです。しかも入籍前に彼女の妊娠がマスコミによって公になれば、挨拶を済ませた森高の両親に対しても、なんとなくバツが悪い。突然のFAX、翌日の入籍会見には、どうもそんな背景があったようなんです」
「授かり婚」なる言葉が当たり前に使われるようになった現代と違い、当時呼ばれていた「できちゃった婚」には、まだなんとなくマイナスイメージが付きまとっていたことも事実。そういう意味では、まさに瓢箪から駒となる119番通報だったというわけである。
(山川敦司)
1962年生まれ。テレビ制作会社を経て「女性自身」記者に。その後「週刊女性」「女性セブン」記者を経てフリーランスに。芸能、事件、皇室等、これまで8000以上の記者会見を取材した。「東方神起の涙」「ユノの流儀」(共にイースト・プレス)「幸せのきずな」(リーブル出版)ほか、著書多数。