日本ハムからポスティングシステムを利用してレイズ入りした上沢直之の譲渡金が、球界内で大きな波紋を広げている。
上沢はマイナー契約を結んだため、譲渡金は最大で51万9250ドル(約7600万円)、最小では6250ドル(約92万円)しかないという。ドジャース入りした山本由伸の場合は5060万ドル(約72億1200万円)、カブスと契約した今永昇太の譲渡金も982万5000ドル(約14億2000万円)に達することに比べれば、まさに雲泥の差だ。
この格差に、さる球界OBは、
「これでは球団側もたまったものではない。選手を育てた代償がわずか100万円程度では、海外FA権を行使して出ていかれたのと大差ない。同様のケースを考えて今後、ポスティングを認めない球団が出てくるかも」
スポーツ紙ベテラン遊軍記者も、次のように話す。
「ポスティングで大金が転がり込んでくれば、球団経営が少しは楽になります。そのお金を補強費に回すこともできる。仮に上沢の譲渡金が最大の51万9250ドルになったとしても、その金額では大した外国人選手は獲得できません」
昨年、ポスティング移籍した藤浪晋太郎の譲渡金は65万ドル(約8800万円)だったといわれる。藤浪はここ何シーズンも、1軍と2軍を行き来していた選手。仮に阪神に在籍していたとしても、38年ぶりの日本一に貢献していたかはわからない。
だが、上沢は昨年9勝、防御率3.19の成績を残したローテーション投手だ。日本ハムはこのオフ、積極的に外国人選手の補強に動いたが、上沢の穴が埋まるかどうかは、シーズンが始まってみないとわからない。
「ロッテの佐々木朗希もポスティング移籍をさせてくれと騒いでいるし、今回の上沢のことで、日本球界に見直し議論が起きる可能性はあります。格安で選手がどんどん流出すれば、日本球界がガタガタになりかねません」(前出・遊軍記者)
92万円では中古車1台の値段にもならない。
(阿部勝彦)