昨年デビューした小林美駒騎手が、開幕週から3週連続で勝利。これまで3勝を挙げ、リーディングの25位に入っている。ほか5人の女性騎手が未勝利の中(古川奈穂はケガで休業中)、ひときわ目立った活躍を見せているのだ。昨年は年間10勝だったが、今の勢いを持ってすればその倍以上の成績も十分可能だろう。
3勝の中で一番ビックリさせられたのが、13日(土)の小倉・最終レースのキャニオニング(牝6)。中団より後ろにいた14番人気のその馬を外から一気に進めて直線で先頭に立つと、そのままゴールまで持たせたのだ。レース後に「手応え通りに動けました」と語っていたように、実に鮮やかなものだった。
ちなみに、キャニオニングは2年5カ月ぶりの勝利。そして、この一戦を最後に引退した。秋華賞4着した母ブリッジクライムのいる社台ファームで、繁殖入りする予定だ。
実は、小林が大穴を出したのはこれが初めてではない。昨年も単勝334.1倍の18番人気馬サンドロップと、同242.0倍の15番人気馬パワポケビーを3着に持ってきて、ビッグな3連馬券を演出している。見習い騎手に与えられた減量特典を生かして穴党を喜ばせた。
成績が上がれば、当然のことながら騎乗依頼も増えていく。昨年は年間286の騎乗数だったが、今年は400を超えそうだ。特にトップクラスの騎手が乗ることの少ないローカル開催でモテモテになるだろう。
最後に彼女の強い味方をあげておきたい。厩舎の先輩・横山武史騎手だ。
「横山は、小林の騎手候補生時代の模擬レースにも毎回駆けつけて気づいた点を助言してきた。レース後は一緒にレース映像を見て、どこが良かった悪かったというアドバイスをしているし、トレーニング方法なども教えている。関東のリーディングジョッキーからマンツーマンで騎乗技術を学んでいるのだから、今後ますます上達していくことだろう」(トラックマンA氏)
今週、土・日とも小倉で騎乗する。土曜5頭、日曜7頭の計12頭。そのうち、日曜3Rのマキアージュと同7Rのトウロウノオノは前3走すべて掲示板に載っており、期待できそうだ。
(競馬ライター・兜志郎)