東京湾が満潮の時刻を迎えると、平和島の水面に潮が満ちてくる。平和島の第1マークの右手には京浜運河があり、その運河を伝って東京湾の海水が入ってくるのである。海水は第1マークの水面下でうねり、対岸方向に流れていく。
この状況でまくりを打つと、水が対岸に向かって流れているため旋回が膨れる。干潮の時間帯は対岸から第1マークへ潮が引いていく。そうなると舟の方向と水の流れる方向が食い違い、旋回が乱れる。平和島では状況に合わせた柔軟なハンドルが欠かせない。
群馬の山崎智也は、この水面で何度も波乱の主役を演じてきた。最近3年間に平和島を走ったのはSG2節、GIが3節。36走して1着6本、2着10本だが、まず昨年10月21日のダービー第8Rを思い出す。あの時、山崎は大外から06で飛び出し、人気の中野次郎らを差して3連単6万810円の大穴をあけた。
さらに昨年3月19日のクラシック第11Rでも、大外から中岡正彦の2着を猛追撃。3連単8万7550円の片棒を担いだ。SGの舞台で大外から好走できたのは、山崎が平和島の水面特徴を熟知しているからである。12月18日【木】~23日【火】の「平和島グランプリ」でも変幻自在の技を見せて、穴党の期待に応えるだろう。
なお、山崎の次走は1月2日~7日の「桐生新春開催」となっている。
◆ボートレース評論家・水上 周
◆アサヒ芸能12/16発売(12/25号)より