サッカー日本代表の伊東純也(スタッド・ランス)が、女性2人から性被害を虚偽告訴されて名誉を傷つけられたとして、2人に計2億円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴したことが明らかになった。
女性2人はアジア杯カタール大会開催中の1月、準強制性交致傷容疑などで伊東らを大阪府警に刑事告訴したと一部週刊誌で報じられ、伊東は日本代表から離脱。日本代表はアジア杯をベスト8で敗退した。
これに対し、伊東が所属するランスは次のように表明。
「これまで伊東の人間的資質と行動が、クラブによって疑問視されることはありませんでした。メディアの報道を裏付ける司法調査が行われるまで、スタッド・ランスは調査を裏付ける情報を持っていません。現段階でクラブは選手との団結を示しています」
伊東は2月11日からフランスリーグに復帰し、スタメン出場を続けている。
伊東は2月1日に、2人の訴えは事実に反するとして、虚偽告訴容疑で大阪府警に告訴しており、大阪府警は双方の届出を受理している。伊東は刑事告訴に続く今回の損害賠償請求となったが、2億円という金額設定に、伊東の代理人の本気度が見えるのだ。
女性が大学を卒業し、22歳から60歳まで働いた場合の生涯年収の中央値は「2億円」。もし伊東側が勝訴した場合に、女性側から取りっぱぐれのない金額に設定されており、女性側は生涯、損害賠償を支払うことになる。
さらに本サイト2月6日付の記事で書いたように、伊東は現在暮らすフランスの司法当局に「侮辱罪、名誉毀損罪」で訴えることもできる。W杯やパリ五輪を前に、アスリートを狙った嫌がらせ目的の、いわゆる「スラップ訴訟」が続くとも限らない。スラップ訴訟抑止のため、伊東が日本のアスリートを代表して、フランスでも訴訟を起こす可能性はある。
ランスが伊東を出場させ続けているのは、フランスでは有罪判決が出るまでは「推定無罪の法則」に基づく処遇をするからだ。国際基準から外れ、代表選手を守りもしない日本サッカー協会は、パリ五輪サッカー最終予選を戦い切れるのだろうか。
(那須優子)