日経平均株価が34年ぶりの最高値を更新し続ける中、国が今年1月から非課税投資可能額などを拡大した「新NISA」に大きな関心が集まっている。また、新NISAでの資産運用をキッカケに、個別株への投資を始める一般庶民も少なくない。
過熱する投資の背景には、岸田文雄総理をはじめ、政府が国策として喧伝する「貯蓄から投資へ」のアドバルーンがある。だが、4万円の大台を窺う日経平均株価を含め、少なからぬ専門家が、エスカレートする現況に警鐘を鳴らしているのも事実だ。
例えば経済アナリストの森永卓郎氏は様々なメディアを通じて、概略、次のように警告を発している。
●現在の株価は完全なバブル状態にあり、今回の株バブルもまた間もなく弾ける
●株バブルが弾ければ売りが売りを呼ぶ展開となり、投資したカネが10分の1に目減りしてしまう場合もある
●そもそも投資は「安い時に買って、高い時に売る」が基本原則だ
●したがって、今は新NISAや個別株に手を出してはいけない
人の行く裏に道あり花の山――。これは古くから知られている株式投資の格言だが、新NISAも含めた投資術に詳しいエコノミストも、次のように指摘している。
「付和雷同の高値づかみで大損。そうなったからといって、国が損金分を補償してくれるわけではない。それでも今の投資ブームに乗りたいというなら、森永さんがギャンブルを引き合いに出して指摘しているように、失ってもかまわない資金の範囲内でやることです。ましてや、老後のための資金を新NISAにブチ込むなど、愚の骨頂ですよ」
バブルの起源は17世紀のオランダで発生したチューリップバブルにあるとされ、異常なまでに高騰した球根の価格は突如として大暴落した。株にせよ鰯の頭(笑)にせよ、バブルはある日突然、確かな理由もなく弾ける、ということだ。
(石森巌)