弟子である元幕内・北青鵬の暴力事件で、日本相撲協会から2階級降格処分を受け、部屋閉鎖の瀬戸際に追い込まれている元横綱・白鵬の宮城野親方が、起死回生の一手を繰り出す可能性が浮上している。長年、大相撲を取材してきたベテラン相撲記者は、次のように話す。
「今回の騒動を人権問題にすり替える作戦に打って出るかもしれませんね。年寄株を取得するため日本国籍を取得しましたが、元々はモンゴル出身。モンゴルの外交ルートを通じて相撲協会に圧力をかけてきても、不思議ではないですよ」
事実、モンゴル力士に対する差別騒動が巻き起こったことはあった。2017年の春場所のことだ。横綱・稀勢の里と優勝争いをしていた大関時代の照ノ富士が元大関の琴奨菊にはたき込みで勝った際、場内に大ブーイングが起こり「モンゴルへ帰れ」の声まで飛び出した。これがヘイトスピーチにあたるとして、海外メディアが大々的に報道している。
宮城野親方自身も2015年の初場所で、大関・稀勢の里を13日目に下し、史上最多となる33度目の優勝を決めた場所後の会見で、角界ではタブーとされてきた審判批判を展開。その稀勢の里戦が同体で取り直しの一番となったことに、
「疑惑の相撲。なぜ取り直しにしたのか。子供が見てもわかる」
などと主張した。さらには、
「肌の色は関係ない。みんな同じ人間。盛り上がりどうこうじゃない。こっちは命がけでやっている」
あたかも人種差別を受けたかのようなことまで口にしたのだ。
当時は北の湖理事長(元横綱・北の湖)時代だったが、ここ10年で国内のハラスメントへの意識は大きく変化している。そこに出身国が異なるという差別問題を持ち出せば、世論が味方となる可能性もあろう。
各界関係者が不安を吐露する。
「白鵬は相撲界では不人気だが、人脈は広くて頭もいい。あまり追い込むとヘイトスピーチだ、差別だと大騒動を引き起こしかねない」
元々は自らの指導力不足が大きな要因になっているが、このまま宮城野親方が黙っているとは思えない。