先月「はじめて行く公営ギャンブル」を上梓した藤木TDC氏が、中高年の初心者ギャンブラーに各競技の楽しみ方を伝授する後編は、ボート&オートレースだ。今の時代、自宅でネット観戦も可能だが、現地に行って生で見ると、その迫力あるエンジン音に魅了されること間違いナシ!
前回は公営ギャンブル4種のうち地方競馬と競輪の予想法や特徴について書きました。今回は残りの2種類、ボートレース(競艇)とオートレースの紹介です。このふたつはモーターボートとオートバイというエンジン付きの乗り物を使っているのでレースにスピード感があり、迫力満点です。そのため訪れるお客さんには若い人や女性が目立つのが特徴です。競技場にも活気があり、遊び方を覚えると中高年でもハマる可能性が高い公営競技です。
【ボートレースとは】
ボートレース場は全国に24場あり、北海道・東北にはなく、関東に5場、残りの19場は静岡県浜松市よりも西にあり、とくに西日本で人気の高い競技です。近年に改修された新しく綺麗な施設が多いのも特徴といえます。
レースは6艇のボートが1周600㍍のコースを3周してゴール入線順位を競います。1周といっても他の競技のような楕円形コースではなく、300メートル離れたふたつのブイ(1マーク、2マーク)をUターンするように周回します。高速で航走するボートがきついコーナーを急ターンするのは簡単ではなく、レースの順位はターン技術で決するといっても過言ではありません。
ボートは水の上に浮いているだけなので、風や波、水の流れの影響を強く受けます。それらの影響をうまく回避、あるいは利用しながら航走するのが選手の実力です。
またボートレースはスタート方法が独特です。ピットと呼ばれる発進地点から走り始めたボートは2マークの近くにあるオレンジ色のブイを回っていったん停止し、そこからゆっくりと枠順のコースに移動していきます。
この時にボートが枠番の順番どおりに並ばず、コースが入れ替わることがあります。この動きを進入あるいはコース取りといい、衝突や妨害行為がない限り認められているのです。後述するようにボートレースは内枠が圧倒的に有利で、外枠のベテラン選手が内枠に入った若手のコースを強奪することもあるのです。
コースに入った各ボートは内枠の1番2番3番はゆっくりと、外枠の4番5番6番はボートを最後方まで下げ猛スピードで発進します。スタートライン近くにある大時計が5秒前を差したあたりからボートが動き始め、時計0秒でスタート線の手前にいれば正常なスタート、線を越えていればフライングで失格です。ビギナーにわかりにくいかもしれませんが、場内のモニターを見ていれば理解できるようになります。
最初の1マークまで各ボートは一線で進みますが、外枠のボートは1マークを大回りしなければならないので不利です。逆に内枠、とくに1枠2枠は失敗しなければ先頭でターンできることが多く、後方のボートは先行するボートが起こす波(引き波)の影響で進路が乱れ追い抜きが難しくなります。よってレースの順位は最初の1マークのターンで決まってしまうことが多いのもボートレースの特徴です。
1番2番が上位に入りやすく、そこから舟券を買うのが基本で、ビギナーにも当てやすい公営ギャンブルかもしれません。逆に5番6番が絡んだ舟券は高配当になる場合が多いです。連勝複式の舟券では配当が低いので、2連単、3連単で高配当を狙うのが勝負の要といえるでしょう。
文・藤木TDC:「はじめて行く公営ギャンブル」(ちくま新書)ではギャンブル場への行き方も詳しく解説