自民党の茂木敏充幹事長は4月16日告示、28日投開票の衆院東京15区(江東区)補欠選挙について、「ファーストの会」副代表で、無所属で出馬する方向の作家・乙武洋匡氏を推薦する方針を表明した。「ファーストの会」は、小池百合子都知事が特別顧問の地域政党「都民ファーストの会」が国政進出に向けて設立した団体だ。
茂木氏は、なんとか推薦候補とすることで「補選3連敗」を免れたいところだが、早くも誤算が生じている。連立を組む公明党が、乙武氏支援に難色を示しているからだ。
公明党の石井啓一幹事長は4月2日の自民党幹部との会合で、乙武氏について、過去に女性問題が報じられたことを踏まえて「現場の反応としては、非常に厳しい」と述べた。同席した佐藤茂樹国対委員長も、記者会見で「各党が女性候補を擁立する中で、過去に女性問題があった候補を、わが党として大手を振って応援できるのか、という問題意識はある」と語った。
これは公明党の支持母体である創価学会の婦人部(現・女性部)の中に、
「乙武氏に対する強いアレルギーがある」(学会関係者)
との理由による。学会婦人部は公明党の集票力の源泉となっており、
「江東区では公明党単独で候補者を出しても戦えるほど、力を持っている」(前出・学会関係者)
乙武氏は2016年に5人の女性との不倫が発覚して、当時の妻と離婚した。2018年に交際報道があったハーフ女性との歌舞伎デートを女性週刊誌で報じられるなど、女性スキャンダルを繰り返してきた。
小池氏がよりによって女性問題を起こした乙武氏を出馬させるとは、想定外だったようだ。自民党はホイホイ乗ってしまったが、そう簡単にコトは運ばないのである。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)