手や指の痺れに悩む人は意外と多い。原因も脳や脊髄神経の病気、末梢神経の圧迫、内科疾患、肩こりなど実に様々だ。
最も危険なのは、「脳梗塞」「脳出血」などの脳血管障害だ。脳の血管が詰まったり、破けて出血したりすることで、脳に血液が行き渡らなくなり、様々な障害が生じてしまうからだ。
手の痺れ以外に、体の片側にだけ起きる痺れやマヒ、舌のもつれ、頭痛、言語障害、意識障害などの症状が見られる場合は、すぐに脳神経外科のある病院を受診する必要がある。
末梢神経が圧迫される原因で発症するのが、「手根管症候群」「胸郭出口症候群」「肘部管症候群」だ。実は手の痺れを訴える人の中で最も多いと言われている。脊髄神経から枝分かれした末梢神経は、手足の先まで伸びていて、その末梢神経が圧迫されると手の痺れが起きてしまう。
「手根管症候群」は、手首の正中神経が圧迫されることによって生じる。親指から中指、薬指の親指側の半分に痺れの症状が出る。特に明け方に痺れが強くなる傾向だという。重症化すると物をつまむことが難しくなったり、指先をまっすぐ伸ばせなくなるから気をつけたい。
「頸椎症」「頸椎椎間板ヘルニア」「頸椎後縦靱帯骨化症」などの首や背骨の疾患が原因となり痺れを発症するケースも多い。これらの疾患によって骨が変形してしまい、脊髄神経が圧迫される。
背骨や椎間板、靱帯の組織は、加齢とともに変形するため、中高年は注意が必要だ。
手の痺れには、必ず何らかの原因がある。痺れが長引く場合には、「どの指が」「どんなふうに」「いつ」しびれるのか、症状をしっかりメモして神経内科や脳神経外科、整形外科を受診するようにしよう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。