ニューヨーク・メッツ傘下の3Aシラキーズでプレーする藤浪晋太郎が、マイナーリーグの目に見えない壁に、メジャーリーグ昇格を阻まれる可能性が出てきた。
藤浪は4月19日(現地時間)、ノースカロライナ州シャーロットで行われたシャーロット戦に、7回から4番手で登板。2人目の打者には自慢のフォーシームを本塁打されたが、3つのアウトを全て三振で奪う投球を見せた。2試合連続での失点となったが、今回の登板では課題だった制球難がなかった。
だが、それだけで即メジャー昇格の声がかかるほど、現実は甘くない。メジャーリーグを取材するスポーツライターは、次のように話す。
「メッツはエース格の千賀滉大を故障で欠きながらも、投手陣が予想外に頑張っている。今のところ、投げてみなければわからない藤浪を、慌てて呼ぶ必要はないですからね」
現段階では3Aで調整を重ねながら、制球力の矯正に励むことになるが、ここに立ちはだかるのがマイナーリーグに存在する不文律だ。前出のスポーツライターが言うには、
「アメリカの場合、マイナーリーグでも故障のリスクを考えて起用します。約5カ月で140試合以上をこなし、50連戦も珍しくないのですが、投手陣は年間で投げるイニング数がある程度、決められていますからね。ブルペン投手でも登板は3試合に1回ほどで、年間を通じた投球イニング数はそれほど多くない。藤浪が昇格をアピールする機会は、思ったより少ないですよ」
レッドソックス傘下の3Aウースターにいる上沢直之は4月21日、本拠地でのダーラム戦に先発。5回を投げて5安打1失点7奪三振の好投で、2勝目(1敗)を挙げた。
「レッドソックスは先発陣の層が薄いため、近日中にもメジャーから声がかかる可能性はある」(前出・スポーツライター)
このまま藤浪ひとりがマイナーリーグに取り残されてしまうのか。
(阿部勝彦)