開幕をマイナーで迎えることが現実味を帯びてきたメッツ・藤浪晋太郎に、帰国を促す声が阪神OBを中心に持ち上がっている。在阪スポーツ紙遊軍記者が語る。
「現地時間3月15日に行われたナショナルズとのオープン戦に4番手として登板したものの、大荒れ。4四死球3暴投で3失点と、一死も取れずに交代ですからね。開幕40人枠は絶望的です。マイナーに落とせる契約になっているし、開幕はメッツ傘下の3Aシュラキュース・メッツで迎えることになるしょうね。それでモチベーションが保てるかどうか…」
シュラキュース・メッツには過去、日本でもなじみの深い元阪急(現オリックス)のブーマー・ウェルズや、元阪神のセシル・フィルダーがプレーしていた時期がある。本拠地NBTバンク・スタジアムの収容人数はわずか1万1071人。絶えず満員になる甲子園とは全く違う。しかも、その日程は過酷。長年、メジャーリーグの取材に携わるスポーツライターが、実情を明かす。
「3Aの年間試合数はメジャーより少ないですが、9月までに全て消化しなくてはならない。バス移動があるし、飛行機での移動も基本はエコノミーシート。メジャーとは雲泥の差です」
しかも戦力にならないと判断されれば、試合後には即座に契約打ち切りが通告される。そんな環境に大阪桐蔭高校から阪神に入団して以降、スター扱いをされ勘違いモードの藤浪が耐えられるとは思えない。
「極端な話、ハンバーガーを口にしたままバスに飛び乗り、次の試合先に向かう生活は難しいのでは。おまけに、いつ昇格できるかもわからない。そんな状況で徐々にやる気を失い、阪神でプレーした最後の年のようにくすぶり、メンタルをやられる可能性だってあります」(前出・遊軍記者)
阪神OBの中には、
「マイナーでやるぐらいなら、日本に戻って来て出直した方がいい。それで結果を残して、またメジャーに挑戦する道もゼロではないはず」
と帰国を視野に入れた発言をする者も出てきた。
高校時代のライバル大谷翔平がメジャーリーグ随一のスーパースターになったことで、負けられない気持ちが湧いていることは理解できる。だが、何度も故障と手術を乗り越えてきた大谷とは、メンタルの強さが違うだろう。
ただ、マイナー落ちから復活すれば、ひと皮もふた皮もむけるのは間違いない。まさに正念場だ。
(阿部勝彦)