ふがいない大荒れ投球が続くメッツ・藤浪晋太郎のマイナー生活で、阪神タイガースがトバッチリを食っている。
メッツ傘下の3Aシラキーズに所属する藤浪は現地時間4月28日のガーディアンズ傘下3Aコロンバス・クリッパーズとのダブルヘッダー第2試合で、4点リードの6回から3番手で登板した。ところが一死しか奪えず、大量6失点で降板を余儀なくされた。これで3Aでも防御率15.88、与四球率20.65に。メジャーリーグを取材するスポーツライターも、天を仰ぐ。
「ここまでひどいとメジャー昇格どころか、3Aでも登板のチャンスはそう多くはないかもしれない」
この惨状に、全米一厳しいといわれるニューヨークの野球ファンの矛先は、意外なところに向けられた。前出のスポーツライターが語る。
「それは阪神です。昔の話になりますが、阪神からポスティングでヤンキースに入団した井川慶の存在があるからです。5年間、ヤンキースとその傘下の3A、2Aでプレーしたケイ・イガワの名前は、今でも完全な失敗作として語り草です。その阪神から来た藤浪がこの有様ですからね。ヤンキースファンとメッツファンは違いますが、阪神出身の投手はニューヨークにはフィットしない、と思っている人が多いですね」
井川はメジャー5年で2勝4敗、防御率6.66ながら、3Aでは2008年に14勝6敗、2009年に10勝8敗。ヤンキース3Aスクラントンの球団史上、最多勝記録保持者となった。5年間のマイナーでの通算成績は、先発83試合を含む107試合に登板して36勝25敗1セーブ、防御率3.83と、現在の藤浪の成績とは雲泥の差だ。それでもアメリカ3年目以降はチーム事情もあり、メジャー昇格のチャンスさえ与えられなかった。
「メジャーで活躍した投手で、阪神出身者は皆無ですからね。日本人投手を欲しがる球団は多いですが、井川に続いて藤浪もこの状態では、阪神出身のメジャーリーガー投手誕生に二の足を踏む球団が出てきても不思議ではないですね」(前出・スポーツライター)
藤浪の不振が、後輩たちの希望の芽を摘むかもしれない。
(阿部勝彦)