藤浪晋太郎がメジャーでは「三流扱い」の300万ドルをわずかに超える2335万ドル(約5億円)プラス出来高払いに加え、先発確約なし、マイナー落ちありの契約でメッツ入りしたことに、阪神球団関係者から安堵の声が漏れている。
アメリカでのプレーを希望していた日本人選手の中で、阪神OBの藤浪だけが唯一、所属球団が決まっていなかったこともあるが、とある危険性をはらんでいたからだ。在阪スポーツ紙遊軍記者が、その事情を説明する。
「プライドの高い藤浪のことだから、アメリカで所属球団が決まらないようなら、1年契約で日本に戻る可能性もあったでしょう。そうなれば、ひと悶着起きる。阪神としては手を挙げざるをえない状況になり、金額もそれなりに用意しなくてはいけないですしね」
かつて藤川球児氏がメジャーを断念して帰国した際、阪神が即座に獲得に乗り出さず独立リーグでプレーした。その際、ファンやマスコミは大騒ぎ。藤浪の場合も、同様な騒動が予想された。
戦力になるならいい。だが、岡田阪神は昨シーズン、38年ぶりの日本一に輝き、今季は球団史上初のリーグ連覇、日本一達成を目指している。12球団一ともいわれる投手力は、充実の一途。そして藤浪は投げてみなければわからない投手。岡田監督にとっては使いづらいタイプで、チーム内に存在していれば、起用法に頭を悩ませることになる。前出の遊軍記者も、
「メジャーだからしぶしぶ中継ぎで投げていますが、日本に戻ってきたらまた先発をさせろと主張することは間違いない」
一方では、こんな声も。
「藤浪が戻ってくれば、大きな話題になる。当然、シーズンと並行して追っかけることになりますね」(スポーツ紙デスク)
今回のメッツ入りは阪神にとっても藤浪にとってもある意味、ウインウインだ。
「今季、メジャーで実績を残して複数年契約を勝ち取ってほしい、と阪神は思っているはずです。毎年同じようなことで頭を悩ませたくないですからね」(前出・遊軍記者)
高校時代のライバル・大谷翔平の20分の1の年俸でのプレーとなるが、どこまで差を詰められるか、注目だ。
(阿部勝彦)