横綱・大関勢の5人全員に黒星がつくという、初日としては昭和以降、初の異常事態で幕を開けたのが大相撲夏場所。
この前代未聞の事態に関係者もザワつく中、「もう一つの異常事態」が相撲ファンの間で不穏な憶測を呼んでいる。相撲ライターが解説する。
「伊勢ヶ濱部屋の力士のうち、先場所(春場所)初入幕で優勝した尊富士以下14名の力士がこの夏場所は初日から休場しています。ところが、そのうちの10名が宮城野部屋から転籍してきた力士なんです。宮城野部屋からの移籍は十両・伯桜鵬以下19名ですから、約半数が休場というのは嫌でも目立ちます。元平幕の炎鵬や元十両の川副(元輝鵬)のように実際のケガで休場中の力士もいますが、先場所は元気に土俵に上がっていた力士も6名(うち1名は途中出場)いますからね」
この異常事態と言っていい状況に対する、熱心な相撲ファンの意見はズバリ「宮城野部屋の閉鎖で出場をボイコットする力士がやはり出てきた」というものだ。
2年前の令和4年4月に元横綱・白鵬が継承した宮城野部屋で今年1月、幕内・北青鵬の後輩力士に対する暴力行為が発覚。結果的に北青鵬は引退、宮城野親方も委員から平年寄りへの2階級降格と報酬減額(3カ月×20%)の懲戒処分となり、宮城野部屋は閉鎖に。所属力士や宮城野親方をはじめとするスタッフは伊勢ヶ濱部屋に移籍することになったのだが…。
「宮城野部屋は大横綱だった白鵬を慕い、指導を受けたいと角界に入ってきた若者が多かった。それもあって、宮城野部屋が消滅するなら引退すると語っていた力士も複数名出ていたのが事実です。今でも宮城野親方はまわし姿で指導を行ってはいますが…」(前出・相撲ライター)
報道ではすでに1名が引退届を提出、さらに夏場所後にも引退届を出す者が複数いるという。一部の力士の素行の悪さと、部屋の管理不足が起こした不祥事のせいで、責任のない未来ある力士が引退しなければならないとは、何とも後味の悪い話だ。
(石見剣)