5月13日、「この歌詞が刺さった『グッとフレーズ』3時間SP」(TBS系)を見た。最初は世代別に、ドラマの名台詞のグッとフレーズを紹介。これが20代は「義母と娘のブルース」、30代は「大恋愛~僕を忘れる君と」、40代は「Beautiful Life ~ふたりでいた日々~」と、TBSのドラマばっかりで、なんだかなあ、と思っていたら、おまけでテレビ朝日の「おっさんずラブ」を紹介。上司の黒澤(吉田鋼太郎)が、春田(田中圭)に「あの時、お前が俺をシンデレラにしたんだ」を刺さった名台詞としていたが、もっといいのがいっぱいあるだろう、と思わずツッコんでしまった。
ところが、そんなのは序の口。見ていてだんだん腹が立ってきたのが、「不適切にもほどがある! 令和じゃあり得ない昭和のアウトフレーズ」という、歌の歌詞について言及するコーナーだ。
最初は「リゲイン」のCMでおなじみ、時任三郎扮する牛若丸三郎太が歌う「勇気のしるし~リゲインのテーマ~」の「24時間戦えますか」が、令和じゃパワハラになるとかなんとか。さらに、ヒロシ&キーボー「3年目の浮気」の「3年目の浮気くらい大目にみろよ」はモラハラだと騒ぎ、島津ゆたかの「ホテル」や山口百恵の「絶体絶命」はクズ男、八代亜紀の「愛の執念」はコワイ女、石川さゆりの「天城越え」に至っては「あなたを殺していいですか」が殺人予告だ、とまで言う始末。
令和の人間が見た昭和の価値観のおかしなところ、その逆パターンもあったが、お互いに寛容になりましょう、という話だった。
ただ、この番組は昭和の歌を令和の価値観で見て、ただいちゃもんをつけるだけという芸のなさ。こんなことをして、石川さゆりが「天城越え」を歌えなくなったらどうしてくれるか、だ。昭和の名曲を愚弄するな! 悪ふざけにもほどがある。こういっちゃあなんだが、令和の歌の歌詞なんか、ただ印象的なフレーズをコラージュしただけ。ちっとも刺さらないからな!
(堀江南)