急転直下の出来事に、ラジオ局はドタバタだった。5月26日のオリックス戦後に実質的な「解任」を言い渡された西武・松井稼頭央監督をめぐる「対応」に追われたからだ。
長年「ライオンズナイター」を中継する文化放送は、事前収録している番組タイトルコールを急遽、録り直した。
「中継オープニングは近年、歴代監督が球団のスローガンとともに番組タイトルをコールする形になっており、5月24日の中継までは松井監督のバージョンが流れていました。ところが解任後にそれを流すわけにはいかず、5月28日からは渡辺久信監督代行バージョンを新たに収録しました。ただ、『GM兼監督代行』と正しい肩書きを言わせるのはいいのですが、西武の応援中継番組なのに、あまりに生々しい肩書きをシーズン終了までずっとファンは聞かされることになる。それを考えると、はたして正しい選択だったかは微妙なところですよ」(在京ラジオ局編成マン)
セ・パ交流戦初戦となる5月28日の中日戦は、敵地バンテリンドームナゴヤで開催。さすがに局のスポーツアナウンサーを現地に派遣したのだが、
「文化放送はスポーツ中継の縮小傾向が続いており、スタッフ不足が顕著。先日もスポーツ担当の局アナ1人が体調不良で倒れると、たちまちプロ野球中継に影響が出ました。これまで実況アナは局アナ、もしくは局OBにしか任せなかったのですが、どうも回らずにフリーアナウンサーが関西向け代理制作中継の実況を担当。『牙城が崩れた』と同業者の間で大騒ぎになったのです」(ラジオ番組制作関係者)
動画ストリーミングサービス普及により、ラジオのプロ野球中継のニーズは相対的に下がっていると言われるが、裏では苦労が絶えないのである。