あろうことか海外での大会開催中、その遠征先の町で「JAPAN」のロゴが入るチーム公式ウェアを着たまま歓楽街に出かけ、「女性を買う行為」に及ぶとは…。
そんな前代未聞の不祥事でスポーツ界に大激震が走ったのは、2018年8月20日だった。8月18日から9月2日までの日程で、インドネシアの首都ジャカルタで開催中の「ジャカルタ・アジア大会」に出場していたバスケットボール男子代表。その中の4選手が、ジャカルタ市内で夕食後、勧誘に応じて女性とホテルで一夜をともにし、帰国処分になったのである。日本選手団の山下泰裕団長により、明らかにされたのだが、スポーツ紙記者はこう話す。
「バスケットボールの試合は、18日の開会式前から始まっていました。4選手は16日のカタール戦に勝利した後、繁華街へ食事に出かけた。現地男性に誘われて、日本人向けのカラオケクラブに入店したんです。ここはいわゆる『連れ出し』専門の店。4人は女の子を伴ってホテルに入り、1人120万ルピア(約9000円)を支払ってコトに及んだ。17日朝まで過ごしたようです」
現地で記者会見に臨んだ山下団長は、行為に及んだ選手が橋本拓哉、今村佳太、永吉佑也、佐藤卓磨の4人だったと明かした上で謝罪。
「国民の皆様に深くおわび申し上げます。選手は競技での活躍だけでなく、競技を離れた場でも社会の規範となる行動を心がけるべき。選手は自費で日本に戻り、チームは残りの8人で大会を戦うことになります」
青天の霹靂だったのは、バスケットボール協会だ。協会は4選手の帰国を待ち、8月21日に急遽、三屋裕子会長同席のもと、緊急会見を行った。前出のスポーツ紙記者が振り返る。
「当初、会見は三屋会長ら幹部だけが出席する予定だったようです。それが『今回の件は言い訳ができない。だからこそ、選手を登壇させます』という三屋会長の号令で、あえて4人を『さらし者』にした。これで猛省を促すことになりました」
時間制限なしで始まった記者会見は、1時間半に及ぶ。報道陣からは「声をかけられたのか、自分たちから声をかけたのか」「ホテルに行くまではどんな気持ちだったのか」「金額はいくらなのか」「買春をしているという認識はなかったのか」等々、容赦ない質問が次々に浴びせられたのである。
ただ、この会見には「これだけ恥をかかせれば、再発防止効果は絶大だろう」という意見のほか、「将来ある選手を、ここまでさらし者にする必要があるのか」といった反対の声も。やり方の賛否はともかく、強烈な抑止力になったことだけは間違いないようだ。
(山川敦司)