オーバーツーリズムの問題が深刻化する中、京都市バスは混雑を緩和するため「観光特急バス」の運行を開始した。このバスは京都駅から清水寺近くの五条坂や、清水寺や祇園などの主要観光地を経由する2つの路線で、土日と祝日に稼働させる。これにより、各観光地への所要時間は最大で20分短縮されるが、運賃は市バスの通常運賃の倍以上となる500円だ。
これが観光客で大混雑を招く「オーバーツーリズム」の解消につながると期待される一方で、京都市民からは「根本的な問題解決にはならないのではないか」との声が上がっている。市内に住む男性は、次のように話す。
「もともと京都市内のバスは運転手不足で、一部路線が減便あるいは運休しています。平日でも観光客で混雑していて、出勤や帰宅が大変です。オーバーツーリズム対策として観光バスを運行するなら、土日だけでなく平日にも運行してほしいです」
オーバーツーリズムは現在、市民の生活にまで甚大な影響を及ぼす深刻な問題となっている。市内在住のOLからも、次のような意見が寄せられている。
「時刻表を確認したら、各バス停に停車するのは1時間に4本だけなんですね。見たところ普通のバスで、スーツケースがある場合、定員の3分の2程度しか乗れなさそうです。500円の運賃で地下鉄とバス1日券が使えるそうですが、この本数では結局、従来の市バスを利用するのではないでしょうか。京都市内の長年の問題である渋滞も、解消されないと思います」
京都市内では公共交通機関の混雑に加え、近隣県からのマイカー観光が引き起こす観光渋滞が深刻化している。バスの増加はさらなる渋滞を招く可能性が高い。「観光特急バス」ははたして吉と出るのだろうか。
(京野歩夢)