6週続いたGⅠ戦が安田記念でひとまず幕を下ろしたが、その翌週、6月8日から北海道競馬が開幕。それと同時に、今年デビューを迎える2歳馬による新馬戦がスタートする。競馬の新年はここから、とみることもできるわけで、競馬に携わっていると1年が過ぎるのはあっという間だ。
東京開催はあと3週。その後は本格的な夏のローカル競馬に突入するが、6月9日に行われる東京のメインはエプソムC。そして函館の開幕週のそれは、恒例となった函館スプリントS。ともに頭数がそろい、なかなか見応えある競馬が毎年繰り広げられている。
今年で41回目を迎えるエプソムCは、別定戦ということもあり、そう大きく荒れることはない。
03年に馬単が導入されて以降、これまでの21年間、その馬単による万馬券は6回(馬連はわずか1回)。この間、1番人気馬は6勝(2着4回)、2番人気馬は4勝(2着3回)。1、2番人気馬によるワンツー決着は3回あり、1、2番人気馬が必ずしも、という重賞ではないが、比較的順当に収まっている。
年齢的には4歳馬の活躍が目立ち、充実著しい5歳馬も安定して力を見せつけている。特に4歳馬は心身のバランスが整う時期で、過去21年で12勝(2着10回)とチャンスをモノにしている。今年のメンバーでみれば、大きく人気にはなりそうにないものの、シルトホルン、マイネルケレリウス、ラケマーダ、レーベンスティールなどは目の離せない存在だ。
対して6歳以上の古豪は苦戦を強いられており、7歳、8歳馬は過去21年で一度も連に絡んでいない。やはり主力は4歳、5歳馬とみるべきなのだろう。
とはいっても、多彩な顔ぶれ。混戦模様で馬券的には簡単ではない。難解ではあるが、狙いは5歳馬。中でも最も期待を寄せてみたいのは、サイルーンだ。
2勝、3勝クラスを連勝してきた上がり馬で、オープンで戦うのは今回が初めて。とはいえ、前2走ともレース内容がよく、初の強敵相手でも通用するとみての狙いである。
前走後は短期放牧でリフレッシュ。ここを目標にしっかり乗り込まれており、臨戦態勢は整っている。1週前の追い切りも軽快かつリズミカル。まずは万全とみてよさそうだ。
「ひ弱さが解消して、使われるたびにたくましくなっている。ここに入っても、そうヒケは取らないはず」
こう厩舎スタッフは口をそろえ、期待感を寄せるほど。ならば、やれていいのではないか。
祖母が女傑ノースフライト(マイルCS、安田記念)という良血馬。東京コースは〈2 3 0 1〉と得意にしており、血統(母系)から道悪も不安はなさそう。晴雨にかかわらず期待したい。
穴は、ルージュリナージュだ。前走のヴィクトリアMは、最後方から直線だけで5着に押し上げたほど。全4勝のうち3勝を挙げているように、とにかく直線の長い東京コースは相性がいい。馬場が極端に悪くならないかぎり、要注意だ。
一方の函館スプリントSで狙ってみたいのは、ビッグシーザーである。
高松宮記念以来、2カ月半ぶりの実践になるが、早くからここを目標に丹念に調整が積まれており、なかなかの好仕上がり。
前走は7着に敗れたものの、道悪の中、よく頑張っていた。北海道(函館、札幌)の力を要する洋芝は初めてになるが、走りっぷりや血統から合っているはず。ここは勝ち負けになっていい。