昨シーズンの2023年は95試合目で35号を放ち、チーム100試合以内で35本以上を記録する、メジャー史上4人目の選手となった大谷翔平。だが、今年はその「凄み」がまだ見られないままだ。
所属するドジャースは67試合で41勝26敗。ニューヨークでのヤンキース戦に勝ち越し、ナ・リーグ西地区の首位を走っている。ところが、我らが大谷は現在のところ本塁打15本。チーム2番目の本塁打数で及第点は余裕でクリアしているが、ヤンキースとの3連戦では相手の主砲であるアーロン・ジャッジが3本塁打。リーグこそ違え、現状の力の差を見せつけられた感は否めない。
大谷は本塁打王争いをした21年と23年は、6月に打ちまくった。21年は13本、23年には15本を放つという「本塁打量産」が、終盤までタイトル争いをリードする要因となったことは間違いない(23年はタイトル獲得)。
ところが今季は、そこまでの勢いが見られないことで、事前に予想されていた大谷の本塁打数がかなり下方修正されているという。スポーツ紙デスクが言う。
「米国だけでなく日本にもありますが、個人の野球ファンがやっている『〇〇投手は何勝すると思いますか?』『〇〇選手は何本ホームランを打つと思いますか?』という投票です。これが意外と当たるので侮れません。ちなみに、米国のファンが投票したものを見ると、ヤンキース3連戦終了後の大谷の今シーズンの本塁打数は、開幕前に50本あった予想から、平均値が一気に35本にまで下方修正されていました。逆にジャッジ選手は60本という予想が一番多いようです」
本塁打35本でも十分に凄いが、確かに本塁打王のタイトルに届く数字ではない。だがメジャー関係者によれば、希望はあるという。
「正直、現在は防御率4点台、5点台の投手の甘い球も打ち切れていないという印象で、調子はどん底でしょう。ですが、12日からは昨年までのア・リーグ西地区のライバルで、大谷が対戦慣れしているレンジャース戦です。その後も、ロッキーズ、エンゼルス、ホワイトソックスと、下位チームとの対戦がほとんどです。ドジャースの6月は残り17試合ですが、少し調子さえ戻れば、この6月後半での本塁打量産はありえない話ではない」
今シーズンは残り95試合。昨年は95試合で35本を放ったが、投手の仕事がない今シーズンは余力十分ということで、残り試合で35本の逆チャージという「新生大谷」が見られても不思議ではない。そうなれば、本塁打50本でタイトル奪取は可能だ。
しかし、開幕当初から様々なことがあり過ぎた今シーズンに、それは期待しすぎだろうか…。
(飯野さつき)