パリ五輪・卓球女子のリザーバー(補欠)に、19歳の木原美悠が選ばれた。「卓球のリザーバー」で思い出されるのは、五輪代表選手の最終選考会を兼ねた、今年1月の全日本選手権。前回の東京大会で金、銀、銅という3種類のメダルを獲得した伊藤美誠が敗れる「大ハプニング」が起きた。
「卓球女子の代表は3人。早田ひなと平野美宇はシングルスに出られますが、3人目の座を射止めた張本美和は、団体戦のダブルスだけ。意外なことに平野は、五輪代表は初めてなんです。まだ15歳の張本は当然、初めてのことですし、リザーバーは経験豊富な年長者から選ばれる、との予想がありました」(体育協会詰め記者)
伊藤は「東京覇者」のプライドが邪魔したのか、リザーバーを断固拒否。その説得に失敗した日本卓球連盟は6月になってようやく、木原を選出した。卓球関係者が説明する。
「女子の中澤鋭監督がアカデミーで担当している選手のひとりが、木原なんです。彼女の選出を予想する声は出ていました。若い木原に五輪の雰囲気を経験させ、次につなげたいのでしょう」
リザーバーが試合に出るのは、早田らに「何か」が起きてしまった時だけ。平野も五輪リザーバーを経験者しているが、代表選手の荷物持ちや練習相手など、傍から見て辛そうな場面がある。その辛さは今後の糧になるだろうが、木原はこれまでのリザーバーとはちょっと違うようだ。
「性格は明るく、普段は関西弁でノリノリ。趣味はカラオケで、自宅にカラオケマシンがあり、家族で熱唱しているそうです」(前出・卓球関係者)
木原の十八番はAIの「Story」と、松田聖子の「赤いスイートピー」。昭和ソングもチョイスするセンスはさすがだ。肝心の卓球については、
「バックハンドとスマッシュのスピードは、世界のトップレベルに届いています。卓球台からちょっと離れて打つ選手が多い中、木原はギリギリまで前に出て打ち込んでくる。速いだけではなく、スマッシュのコントロールも抜群ですね」(前出・体育協会詰め記者)
将来性を高く買われているのは間違いなかろう。
五輪前哨戦と言える「スターコンテンダー・リュブリャナ大会」(6月15日決勝)では、長崎美柚との「Wみうコンビ」で優勝を遂げた。早田らが決勝にも進めずに苦しんでいたのに、だ。失敗しても持ち前の明るさで、切り替えは早い。パリ五輪では勝利の凱歌で「赤いスイートピー」を熱唱するか。
(飯山満)