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【中年の星】パリ五輪「ブレイクダンス日本代表」41歳女性選手の激しすぎる動きは「お掃除スタイル」だった

 女性の年齢を話題にするのは、無礼で無粋とわかっている。それでも新たな「中年の星」の爆誕だと、喜ばずにはいられない。

 体力も成長も著しい若手選手に競り勝ち、五輪新種目のブレイキン(ブレイクダンス)パリ五輪行き切符を手にしたのは、AYUMIこと福島あゆみ選手だ。選考大会中の6月22日、41歳の誕生日を自身で祝うようにキレッキレのダンスを披露し、日本女子代表となった。

 ヘルニアを患い、ダンスの練習ができなかった時期があるが。今年2月の全日本ブレイキン選手権で、3連覇を達成。当時の囲み取材では「全身が痛い」と満身創痍を訴えていたが、左手1本で逆立ち、左肩と頭で全身を支えながらクルクル回る…など独創性ある高度なダンスとポーズをしっかり決めて加点を重ねるスタイルだ。

 ブレイクダンス競技の加点ポイントに「音楽のテンポとダンスが合っているか」があるが、AYUMIの強みはどんなDJ、どんなアップテンポの曲にも合う華麗な足さばき。プロダンサーと幼稚園のダンス、英会話教員を務める「二刀流」をこなすご本人は自身のこのダンスを、掃き掃除や雑巾掛けなどの一連の動作にインスパイアされた「お掃除スタイル」と呼んでいる。

 ダンサーが1対1で交互に自分の技を披露するブレイキンの競技時間は特に決まっていないが、接戦ともなると15分以上、激しく動き続けなければならない。百聞は一見にしかずで、彼女の競技動画、ダンス動画を見れば、40代でブレイクダンスの頂点に立ち続けることはもちろん、10分以上足を休めることなく踊り続けられる持久力と体幹の筋力に驚くしかない。

 40代になってもこんなことが可能な秘訣について、AYUMIは過去に雑誌「Tarzan」のインタビューで「こまめな仮眠をとる」「体を温める」「インナーマッスルを鍛える」と語っている。

 ブレイクダンスのダンサーは肥満防止と筋力維持、そして食後に体が重くならないよう、1日3食ではなく5回に食事を分けて、タンパク質豊富な食事を少しずつ摂るのが一般的だ。

 15分間の激しいダンスはもちろん、朝のラジオ体操だって無理だという40代50代でも、20年以上も摂生と筋トレを続けるAYUMIのブレイクダンスを見ると、間食をお菓子から高タンパクな豆腐バーに替えてみようかな…と思うくらいには、自分の中に消えかけていた炎が灯っていくのがわかる。

 開幕までおよそ1カ月に迫ったパリ五輪。サッカーやバスケットボール、バレーボールも見逃せないが、涼しい部屋の中で、激アツなダンスバトルも必見だ。

(那須優子)

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