6月14日、岸和田競輪のGⅠ高松宮記念杯の成績は8戦2的中。その日は南海本線沿線の堺泊まりだった。翌15日は、そこから京都競馬場に出かけた。全国97ギャンブル場行脚も、残すところあと5場のカウントダウンに入った。
堺から京都競馬場がある淀駅までは、こんなルートになった。ホテルがあるJR堺東駅から南海高野線で天下茶屋駅、地下鉄堺筋線で北浜駅、そこから京阪本線で淀駅下車。大阪へはよく出かけているが、この時はどれも初めて乗る路線ばかり。もうひとつの関西にやってきた気分である。大阪~京都間はだいたいが新幹線を利用するから、新幹線に乗らずに京都に行くのもまた、新鮮である。
淀駅のひとつ手前には日本三大八幡宮のひとつ、石清水八幡宮がある。都会のギャンブル場なのにこういう由緒ある名跡があるのは、旅打ちにはありがたい。これは避けては通れない。そしてこういう場合、必ず探すのが「勝守」。はたして石清水八幡宮に「勝守」はあるか。
行きはケーブルカーを利用し、八幡宮山上駅までは所要3分。国宝になっている御本社前には茅でできた輪があり、左に右に3回くぐると清められるという。これをやってから御本社でパンパンと手を合わせた。
それからお札、御守などの販売所を覗いてみた。どこでも家内安全や開運の御守はすぐに見つかるが、戦国時代でもあるまいということなのか、勝守は目を凝らして探さないと見つからないことが多い。ここでも2度3度と隅々まで見て、やっと探し当てた。
「必勝・合格 勝駒守」。賭け事ではなく、受験の合格祈願を込めたものらしい。だが、何で勝つも負けるも「必勝」は「必勝」だから、構うことはない。1000円を払ってギャンブルバッグの奥に収める。帰りは400段の長い石段を、歩いて降りた。
淀駅では臨時の改札が開いており、競馬場に直結していた。場内には次週6月23日に行われるGⅠ宝塚記念のポスターなどが、いくつも貼られている。旅打ちは混雑するビッグレースがある日よりは、メインの重賞程度がある平場開催の方がいい。ムダな賑わいは性に会わない。
あとで確認したら、この日に歩いた距離は12.8キロだった。石清水八幡宮を回るのに10キロ近く歩いたのではないか。ホテルでも街中でも何も食べていないので、さすがに空腹だった。取るものも取りあえず正面入り口、左横のフードコートに急いだ。
「バーガーキング」や「吉野家」もあるけど、京都ならではの飲食店が3、4軒並んでいる。ピンときたのは焼鳥「鳥せい」だった。ここの焼き鳥丼800円がとってもうまそうだ。さっそく食す。あっさりダレで、いい感じ。すきっ腹に吸い込むように、食べ切った。
隣りには「九十九鳥いりこ 濃厚コク旨出汁 つくもうどん」。ここのたっぷり九条ねぎうどん680円もそそられる。これは時間をおいて、小腹がすいてから戻ってかき込んだ。
馬券は7Rから。3歳以上1勝クラス、芝右回り1800メートル、8頭立てだ。
いつものように持ち時計を比較し、人気をチェックする。1番人気は⑧ケイブパール、2番人気③オーロラエックス、3番人気⑥モモンウールー。③は昨年暮れにデビュー戦で勝ってから、5カ月半休養しての鉄砲だ。不安だけど、持ち時計、成績で上回る⑧を破るなら、この③しかいない。
馬券はまず⑧から2着3着②③④⑥のフォーメーション12点と、1着③、2着⑧、3着②④⑥の3点、各500円。
ところがあとから馬券を見てみると、③から買った馬券が③①―②④⑥になっている。マークシートの書き間違いだ。これがきたら配当が大きくハネ上がるが…。
レースはスタートから⑧が逃げ、②と③が2番手を追走。ゴール前では③がきっちり差し切った。アチャッ。3連単③⑧⑥で2280円。買っていたらチョイ浮き程度だけど、的中とドボンでは気分がまるで違う。初めてやって来た、右も左もわからない競馬場なら、メシ代が出たくらいでも御の字だから。
結論から言えば、この日はほぼトントンで終了。京都競馬場はJRAの中では周辺環境やノンビリ感がひと味もふた味も異なる。さすが京都。もう一度、来てみたい競馬場のNo.1になった。
(峯田淳/コラムニスト)