右肩の張りで60日間の負傷者リスト(IL)入りしているメッツの藤浪晋太郎が、再びマイナー落ちする可能性が出てきた。
藤浪は現地時間の6月22日に、自身のインスタグラムに「Live BP」と題する、打者を相手にした実戦形式の投球練習動画を公開した。最大の武器であるストレートが160キロに迫るスピードを計測したとされるが、そのままメジャーでの登板につながるわけではない。
メジャーリーグを取材するスポーツライターが、次のように評する。
「メジャー昇格後にIL入りさせたのは、40人枠のロースターの関係があったから。藤浪は開幕から3Aでプレーしていましたが、メジャー契約を結んでおり、昇格およびIL入りさせても金銭的な負担は発生しません。しかも40人枠の人数勘定から除外できるため、代替選手の登録が可能になる。ある意味、便利使いです」
今季の藤浪は開幕から、メッツ傘下の3Aシラキーズでプレーした。9試合に登板し、7回2/3を投げて、防御率14.09。9三振を奪ったが19四死球と、課題の制球難はまるで解消されていない。前出のスポーツライターも、
「今やメッツの希望の光は、6月23日に実戦形式の打撃練習に登板して22球を投げた千賀滉大です。球団首脳と現場は、千賀の復帰を一日千秋の思いで待っていますが、藤浪に関しては、そんなムードはありません」
両選手の立場の違いは明らかだ。仮にこのまま藤浪が順調に投球練習を重ね、試合に登板できるメドが立ったとしても、メッツにはチャンスを与える余裕がない。
メッツはナショナル・リーグ東地区で、首位フィリーズからは10ゲーム差以上も離されており、ワイルドカード争いでも下位に沈んでいる。とはいえ、ポストシーズン進出の可能性がゼロになったわけではない。これまで以上に負けられない状況になれば、コントロールがおぼつかず、1年契約の藤浪をメジャーで登板させるわけにはいかないのだ。そして、
「藤浪が完全に投げられる状態になれば、いつまでもILには置いておけない。登板できるなら再び、マイナー生活が始まる可能性が大ですね」(前出・スポーツライター)
このままメジャー生活が終わってしまうのは悲しい話だが、取り巻く現実はなかなか厳しいのである。
(阿部勝彦)