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中日戦「2試合でたった1得点」でも阪神・岡田監督が見た「打撃陣が上向き」の証拠

「今までの0とはちょっと違う」

 先発ローテーションを組み替えた阪神は6月25日、岡山県倉敷市・マスカットスタジアムで行われた中日戦に0-1で敗戦した。これが今季10度目の完封負けとなったわけだが、岡田彰布監督からは冒頭のポジティブ発言が出た。

 阪神はこの試合、中日の先発・小笠原慎之介を相手に序盤からヒットが飛び出し、4回には主力が3安打とチャンスを拡大したが、あと1本が出なかった。

 反対に、週のアタマの先発に回った8連勝中の〝新エース〟才木浩人が8回、昨年までチームメイトだった板山祐太郎に先制打を浴びてしまう。

 9回には、二死から佐藤輝明が竜の守護神・マルティネスから安打を放つと、代走・植田海がすかさず二盗を決める。一打同点の場面は作ったが、ホームベースが遠かった。

 在阪のスポーツ紙デスクが口を開く。

「あと1本が出ませんでしたが、調子の落ちていた1・2番の近本光司と中野拓夢に安打が出た。4番の大山悠輔は2併殺とブレーキになってしまったが、当たりは悪くなかった。大山の前後を打つ森下翔太、前川右京、佐藤も1本ずつ安打を放っている。相手のエースに対して、この内容は完敗とは言えないでしょう」

 はたしてこの試合で、岡田監督が感じた「今までと違う」部分とはどこにあったのか。

「試合前の練習に答えはあったようです。ナインは打撃練習で快音を連発。打ち損じて打撃ケージに当てるケースが少なく、反対方向の内野席への差し込まれたファウルがほとんどなかったのです。この内容について岡田監督は『よかった。久しぶりになあ』と語っていたのです」(前出・スポーツ紙デスク)

 実は岡田監督は倉敷入り前に、内野スタンドの警備員が打撃練習時に観客への注意喚起で鳴らす笛に「ピーピー鳴っとるやないか」と独特の表現をしていた。メディアに対し、打撃陣がフリー打撃で逆方向へのファウルを連発していることを指摘したのだ。「練習の時から差されとったら、試合で打てるわけないやんか」と苦言を呈していたのだ。その叱咤が効いたのか、打撃陣には光明が見えたようだ。

 だが、翌26日の試合は延長12回で決着つかず、試合後に岡田監督は「足のあるもんがな、足を生かせばええのにな」と、1・2番の近本と中野の沈黙を嘆いた。しかし、12回の佐藤のエラーから始まった、中日の一死満塁の攻撃を無失点に抑え、むしろ負け試合を引き分けに持ち込んだといえる内容ではあった。

 まだリーグ戦は再開したばかり。好調をキープしている投手陣と、どん底から這い上がるしかない打線の歯車がガッチリとかみ合う日は遠くない。岡田監督はそう考えているようだ。

(石見剣)

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