アイドルのコンサート並みに黄色い声が飛ぶバレーボールに負けじと、女性を中心に人気沸騰中なのがバスケットボール男子日本代表だ。
メダルの可能性があるバレー男子とは違い、バスケ男子は予選リーグでの1勝がリアルな目標と、パリ五輪では置かれた立場が違う。それでも現役NBAプレーヤーの八村塁を筆頭に、今季からBリーグの渡邊雄太、NBAチームとのエクジビット10契約にたどり着いた富永啓生、河村勇輝らを擁する代表メンバー構成に、ファンの期待は日に日に高まっている。
ところが、そんなバスケ男子日本代表の試合について、熱烈ファンから「納得がいかない」という声が聞こえ始めているのだ。特にその声が大きくなったのが、7月7日に有明アリーナで行われた韓国代表との国際強化試合だった。Bリーグなどバスケに詳しいスポーツライターが事態を説明する。
「テレビ朝日の中継で、女優の広瀬すずがコートサイド1列目で観戦していることがまず話題になりました。するとネット上はもちろん、スポーツサイトの記事などが試合経過より、『顔が小さい』『ばり可愛い』と広瀬のことばかり取り上げました。これは一部で批判がありましたが、広瀬は『テレビ朝日バスケSPブースター』という立場ですから、いて当然とはいえます。しかしその後、同じコートサイドの特等席といえる場所に吉高由里子や三吉彩花、ハリセンボンの近藤春菜らが陣取っていることが明らかになりました。日本代表の馬場雄大選手の妻である森カンナも一緒でしたから、お仲間なのでしょう。もちろん悪いことではないのですが、この芸能人軍団が並んだ特等席は、日本代表を応援するファンクラブに入ってもなかなか入手できない高額シート。そこにどこまで本気でバスケを応援しているかわからない芸能人が、我が物顔で招待されているのはどういうことか。納得がいかないという声が湧き上がってしまったのです」
そんなファンの妬みに近い声が拡散されると、すぐに賛否が飛び交った。特に多かったのは「NBAとかは有名人がコートサイドに結構いるから同じ」「バスケが人気になった証拠ではないか」と、批判をたしなめる声だったが…。前出のスポーツライターは、そうした意見は一理あるが、まったく同じではないと話す。
「現在、バスケ界はとにかく人気を上げたい、いずれはJリーグを抜きたいという野望を持っています。ですから、芸能人が来ることをむしろ歓迎しています。試合後に選手との2ショットをSNSにアップする女優さえいますからね。では、NBAと同じかというと少し違います。よく考えてください。NBAはあくまで国内リーグ、日本でいえばBリーグです。NBAでコートサイドに陣取っている著名人といえば、古くは俳優のジャック・ニコルソン、映画監督のスパイク・リーあたりは有名ですが、実は彼らは高額の年間シートを購入している本物のファンです。ところが、日本の場合は民放でテレビ中継されて、年間に数試合しかない代表戦にだけ芸能人がズラリと並ぶ。これが『なぜ代表戦だけ?』と、妬みや反感を買っているのです」
確かに、ハリセンボンが千葉ジェッツのシーズンシートを購入していたらたいしたものだ。だが実際は、Bリーグを熱心に観戦する芸能人はほぼいないだろう。一般人はファンクラブに安くない年会費を払いながら、さらにチケット発売日にはスマホを構えて、少しでも良席を取ろうと必死だ。
バスケ好きを公言するなら、招待される代表戦だけでなく、NBAのようにBリーグにも来たらどうかと嫌味を言いたくなるのはわかる。
ちなみに、韓国戦が開催された7月7日は選挙特番のため、NHKの大河ドラマ「光る君へ」の放送は休みだった。その普段なら大河が放送中の時間帯に、テレビ朝日に堂々と映っていたのが「光る君へ」の主演女優・吉高というわけだ。
バスケのコートサイドはテレビ中継に終始映ることで、絶好のプロモーション効果があると言われている。まさか、吉高がそれを狙ったわけではないと思うが…。
(飯野さつき)