JRA競馬場で屈指の小回りコース、函館競馬場で行われる伝統の「函館記念」(芝2000メートル)は、荒れるレースとして有名だ。
何といっても、ここ10年間の3連単の平均配当が57万1559円。15番人気のアドマイヤジャスタが制した2020年に300万馬券が出たことが平均値を押し上げているとはいえ、その1年を外した9年間でも3連単の平均は25万円を超えている。
では、7月14日に「サマー2000シリーズ」の第2戦として行われる、今年の「函館記念」はどうなのか。
「安心してください、荒れますよ!」と、ワクワクしてたまらないという表情なのは、関東在住の馬券師ライターだ。
「函館記念が異様に荒れるのは、馬券を買う側の心理が大きく影響していると言えます。過去10年で馬券になった(3着以内)30頭のうち、17頭が前走で掲示板を外しています。この〝見た目〟が荒れる要素の1つです」
事実、今回の上位人気が予想される3頭のうち2頭、ホウオウビスケッツとデビットバローズは、6月30日に行われた函館競馬場の前哨戦「巴賞」(芝1800メートル)の1、2着馬だ。
「巴賞の1、2着馬を函館記念で買うなんて愚行です。この10年で1頭も馬券になってないわけですから、距離が200メートル違うだけで別のレースと言っていい。最初のコーナーまでの距離が短く先手の奪い合いになる巴賞は行ききった馬が有利。ホウオウビスケッツはまさにそれ(逃げ切り)で、デビットバローズはその番手追走でした。ところが、200メートル延びて最初の直線が長い函館記念は、前半ゆっくり、全馬が脚をためて第3コーナーあたりから激しくなる。過去を振り返ってください、見事に巴賞組の順位が逆になっています」(馬券師ライター)
事実その通りで、巴賞組で馬券になっているのは「3着~12着」の馬だけだ。これに、前出の馬券師ライターが馬券のヒントとなる情報を付け加える。
「では、巴賞の負け組ならどれでも買えるのかと言われたら当然違います。巴賞組で馬券になっているのは、4コーナーで6番手~9番手にいた馬たちばかり。つまり、先行有利の巴賞と違って、中段から中段後方で競馬をできる馬が、ある程度上がりのかかる函館記念でゴール前で届くというわけです。そう考えれば、今回は買える馬がおのずと決まりますよね」
なんと、今年の馬柱に目を移せば一目瞭然だ。巴賞組で該当する馬は、4コーナー9番手から追い込んで4着となったオニャンコポンただ1頭となる。
「今回はオニャンコポンの1着固定、資金に余裕があれば2着まで買っておきたい。それで確実に当たるはずです。あとは前走掲示板を外している馬から、上がりのかかるレースに強い馬を選びたい。人気の1頭、天皇賞14着のチャックネイトは強いかもしれませんね。どちらにせよ、巴賞の1、2着馬がいらないとしたら、3連単で10万円超えは確実ではないでしょうか」(前出・馬券師ライター)
本命党が絶対に手を出してはいけないレース「函館記念」で、穴党は夏の高額ボーナスをゲットといきたいところだ。
(宮村仁)