これは最下位脱出よりも重大な問題かもしれない。日本球界で通算150セーブを達成した中日ドラゴンズの絶対的守護神ライデル・マルティネスは、来季もチームに残ってくれるのか。7月18日、加藤宏幸球団本部長が、今季で3年契約を満了するマルティネスとの残留交渉を始めていることを明かしたのだ。
「今季もここまで(7月18日)41試合に登板してリーグトップの28セーブ、防御率は0.90。『失敗しないクローザー』がいなくなったら、大打撃です」(名古屋在住記者)
当然ながら、球団は「残留してくれ」の気持ちを伝えたが、マルティネスはキューバ政府から派遣された選手。去就はキューバ政府が決めるため、回答できないようだ。
「マルティネス個人の話をすれば、キューバ代表チームで活躍したいとの思いが強いようです。キューバ側も2023年WBCの準決勝でアメリカに敗れたことを、重く受け止めている。マルティネスはキューバ代表チームにおいても、大切なリリーバーなのです。キューバ政府は2026年の次回大会まで、彼をどこに派遣するのがベストなのかを考えてくるでしょう」(前出・名古屋在住記者)
中日の関係者によれば、対戦チームのデータ報告書に最も長く目を通し、スコアラーを質問攻めにするのがマルティネスだという。
力任せに剛速球を投げ込み、パワーで相手をねじ伏せているように見えるが、実際は違う。どのコースに投げ込めば相手バッターは速いと思ってくれるのかを考え、その上で配球の勉強をしているそうだ。
「野球そのものを勉強しています。ブルペンにいる時も、味方打線の攻撃を見ています」(球団関係者)
中日が「大金を積んでも」の気持ちになるのは、分からなくもない。
「マルティネスの勉強熱心さは、キューバのナショナルチームのスタッフも認めています。『彼を強いチームで勉強させてくれ』と政府に進言するかもしれません」(前出・名古屋在住記者)
やはり、ドラゴンズが強くならなければならないのだ。マルティネスが加藤本部長に何を伝えたのかは分からない。その勉強熱心さは今後、どこで生かされることになるのか…。